ありえない、暮らし
信濃町の放課後事情――信濃町児童クラブってどんな場所?
こんにちは、町民ライターのAyaco*です。
私が子どものころに過ごした信濃町は、おじいちゃんおばあちゃんが一緒に暮らしていることがスタンダードで、学校が終わると誰もがお家へ帰り宿題をしたり、友だちのお家で遊んだりしていました。
そんな信濃町も時代と共に核家族化が進み、共働き世帯が増え、子どもたちを取りまく放課後事情も変化してきました。周りに頼れる親族がいない子育て世代の移住者にとっても「放課後に子どもたちが安心して過ごせる場所があるのか」は、とても気になるポイントではないでしょうか。
そこで、放課後に家族が不在でも子どもたちが安心して過ごせる場を提供している「信濃町児童クラブ」を取材してきました。
信濃町に児童クラブができるまで
私自身が小学校に通っていた頃は信濃町に「学童保育」といったものはなく、家族が家にいるいないに関わらず、学校が終わるとお家に帰るのが当たり前でした。信濃町に「児童クラブ」ができたのはいつごろだったのでしょうか?
信濃町に児童クラブができたのは、平成12年〜18年の間。町の各4地区(柏原、野尻、古間、富士里)にニーズに合わせて開設されてきたそうです。平成24年の学校統合で信濃小中学校が誕生したことにともない、4つの児童クラブも統合し「信濃町児童クラブ」になりました。
平成27年には「子ども・子育て支援新制度」の施行によって、放課後に子どもたちが過ごす環境を更に充実させるため、それまで利用対象が1年生〜3年生だったものを、6年生まで利用できるよう拡充し、「児童クラブ分室」が新設されました。
児童クラブを利用するにはどうしたらいいの?
【信濃町児童クラブ開設日時】
平日 | 第2土曜日・学校休業日 | |
開設時間 | 放課後〜午後7:00 | 午前7:30〜午後7:00 |
本館 | 1年生〜3年生 | × |
分室 | 4年生〜6年生 | 1年生〜6年生 |
信濃町児童クラブには信濃小中学校の目の前にある「本館」と地域交流施設内の「分室」があります。本館は1年生〜3年生が、分室は4年生〜6年生が利用しています。夏休みなどの学校休業日や第2土曜日は全学年が分室で過ごしています。夏休みは旧古間小学校の広い体育館を所狭しと子どもたちが遊び回って、とても賑やかだそうです。開設時間はいずれも夜の7時までと長野市など離れた場所で働くご家庭にも利用しやすくなっています。
児童クラブを利用するためには、まず利用登録をします。登録は随時受け付けていて、信濃町教育委員会もしくは直接、児童クラブで登録申請することができます。利用登録が決定されると利用開始となります。毎月、翌月の利用したい日を申し込みします。利用を継続していれば、学校を通して申し込み用紙が届くので申し込み忘れも少なく便利ですね。
利用する前に見学もできるので、気になる方はぜひ問い合わせしてみてください。
放課後子ども教室って?
4年生〜6年生が利用対象の「児童クラブ分室」では、児童クラブを利用する子どもたちだけではなく、信濃小中学校の4年生〜6年生すべての子どもたちを対象とした「放課後子ども教室」と一体型の運営が行われています。
各月にひとつの教室が週に一度開かれ、学校を通して申し込みができます。地域の方を講師に身体を動かす運動系から工作や手芸など様々な教室が開かれるので、地域の方とのふれあいや交流を通して、子どもたちの興味や関心の幅が広げられるよう工夫されています。中には地域の習いごとやスポーツ指導されている方たちの教室もあるので、気になっていた習いごとの体験として、気軽に参加してみるのもアリですね。
子どもたちや家族が地域と繋がれる心強い存在
現在、「信濃町児童クラブ」には「放課後児童支援員認定資格」を持つ支援員さんが8名在籍しています。40代〜70代の全員が女性です。支援員認定資格だけではなく、保育士や教員の経験者も在籍しています。
時には、家庭や学校での子育ての悩みごとの相談に乗ることもあるそうで、保護者同士の繋がりからは一歩離れた場所から子どもたちを見守ってくれる「サポーター的存在」だなと感じました。利用する家族にとっても心強い存在です。
しかし残念ながら、全国的に支援員さんの数は年々減っているそうです。「信濃町児童クラブ」では補助員として働きながら資格を取得することもできますので、一緒に子どもたちの成長の支えになってくれる方を募集しています。
子どもたちの「やりたい!」を大切に
では、子どもたちは普段「信濃町児童クラブ」でどのような活動をしているのでしょう?現在、4〜6年生の利用がないため、本館での子供たちの様子を見学させていただきました。
こちらが平日の本館での子どもたちの日課です。
下校〜 | 登館 |
15:30〜 | おやつ・片付け |
宿題・自主学習 など | |
16:00〜 | 自由遊び |
〜19:00 | 下館 |
とても印象的だったのは、学校から児童クラブに来た子どもたちを「おかえり!」と迎える支援員さんの声かけです。「おかえり!」と迎えられた子どもたちの顔は、まるでおばあちゃんの家に帰ってきたかのように緩み、見ていてホッコリさせられました。
受付を済ませ2階に上がると本棚やテーブルが並べられていて、ここでおやつを食べたり宿題をしたりします。
1階には広いホールのような部屋があり、ボールや一輪車など身体を使った遊びができるようになっています。
実際に活動の様子を見るまでは、保育園や学校のように支援員さんが中心になって活動をしているのだと思っていましたが、過ごし方は子どもたちそれぞれが決めていて、2階で過ごす間も宿題をする子もいれば、ブロックやテーブルゲームに集中したり、支援員さんは子どもたちの「やりたい気持ち」に寄り添い見守っていました。怪我などしないように最低限のルールがあるだけで、強制はせず「その子らしく」いられるよう心がけているということです。子どもたちの自主性を強く感じさせられました。
子どもも家族も自分らしくノビノビと
ここ数年は感染症の影響もあり、夏祭りやクリスマス会などの年間行事が中止となってしまい中の様子が分かりづらくなりがちですが、子どもたちの様子が分かるお便りも学校を通して配布され、家族も安心して利用できる工夫がされています。
「子どもたちが安心して自分らしく、ノビノビとここで成長していける環境を更に整えてていきたい」と支援員さんのお話がありました。また「なので、ご家族も安心してご自身の能力を存分に発揮してきていただきたい」と、なんだか私まで元気づけられたようで嬉しくなってしまいました。
学校でもない、家でもない特別な場所は、子どもたちがリラックスして思い思いにくつろげる素敵な空間でした。そして、先生でもなく家族でもない特別な存在である支援員さんは、利用する子どもたちだけでなく、家族とも寄り添い子育てについて一緒に考えてくれるとても心強い存在でした。
子どもたちとだけでなく、その家族と地域が繋がっていける場として、安心して利用していただけるなと思いました。
施設情報
信濃町放課後児童クラブhttps://www.town.shinano.lg.jp/kosodate/shisetsu/houkago/
信濃町大字古間481-1
026-255-3522
信濃町放課後児童クラブ分室
信濃町大字富濃1945-2