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雪道・坂道・けもの道!信濃町交番に、いなかまちの道路事情を聞いてみた
こんにちは!
2018年に、長野県・信濃町にUターンしてきましたライターの松下です。
「え、信濃町から車で通ってるの?」
長野市に通勤している私は、何度この言葉を聞いたでしょう?
片道40分の、ひとりで快適な車通勤ですが、気をつける箇所も多いし、野生動物と遭遇することもあります。
でも実際、信濃町の道路事情ってどうなってるんでしょう?
気になりますが……そんなことを教えてくれるのは、ここしか思い当たりませんでした。
そう、交番です。
国道18号沿いにある、信濃町交番。
普通の生活をしていると、この敷地内に入ることはなかなかないですね。少しドキドキします(笑)。
なんと交番所長に、取材に答えていただけることになりました!
人物紹介:長野県長野中央警察署 地域課信濃町交番所長(2019年12月現在)田中 信紀(たなか のぶき)警部補 |
信濃町の交通事故ランキング
交番の中へ入っていくと、案内されたのは、広い事務所の脇、ドアの正面には窓、白い壁、スチール机と一対の椅子のある、小部屋です。
――今日はお時間いただきありがとうございます。今日は、信濃町の道路事情について伺いたいと思います。最初にお聞きしたいのですが、信濃町では交通事故ってどれぐらい起こっているんでしょうか?
田中所長:
信濃町の交通事故の月別発生件数は、こんな感じですね。
月別発生状況(2018年 全192件〈人身13件・物損179件〉)
1位 | 12月 | 31件 |
2位 | 2月 | 23件 |
3位 | 8月 | 21件 |
田中所長:月別では、12月が一番多いです。12月は人身事故はなかったですが、物損が多いですね。凍結によるスリップで、単独事故になってしまったりします。8月が多いのは、地理不案内な県外者の流出・入が増えることによります。曜日別だと、月曜日、あと土日が多くなっています。
――月曜日はなぜ多いんでしょう?
田中所長:
月曜日はみんな気忙(きぜわ)しいんでしょうね。土日が休みで、翌日は連休慣れしていて、慌てて目的地に向かってしまう。寝坊とかもあるでしょうね(笑)。それと朝方で凍結しているのに、いつも通りの感覚で運転して、スリップしてしまうということも多いです。
ーーなるほど。朝は慌てがちですよね。
田中所長:時間帯ですと、平日は出勤時間帯(7〜9時)、土日は買い物の行き帰りの時間帯(9〜11時・15〜17時)が多いです。場所では、古間多町交差点近くにある商業施設の大型駐車場が一番多いです。
ーー駐車場の出入り口での、衝突事故などでしょうか?
田中所長:いえ、駐車場内ですね。建物に向けて前からまっすぐ止め、バックで出るときに、きちんと見ないでぶつけてしまう、これが一番多いです。最初にバックで入って前から出る「出船(でふね)方式」だと、事故防止につながります。
また、みなさん車をお店の入り口近くに駐めたいんですけれども、そのあたりはどうしても混雑していて、事故も起きやすいんです。ちょっと歩くかもしれないけど、空いている、離れている場所に駐めるといいと思います。
ーーでは、信濃町の中で事故が多いのは大きな駐車場がある場所、ということですね。
田中所長:そうです。事故のタイプで一番多いのは、車両単独事故です。スリップしたとか、ポールにぶつけたとか。2番目は車両相互、駐車場でバックしてとか、すれ違いとかです。道路での追突・すれ違い・出会い頭の事故は少ないですね。
ーー意外でした! 単独事故が一番多いとは。
田中所長:あとは国道18号ですね。これは交通量が多いからですね。ちなみに、昨年2019年は死亡事故はないですが、2018年は2件発生しています。それまでは死亡事故ゼロが、1000日を超えていたんです。
スリップの多発箇所はおもに5つです。
①北信五岳道路吹野交差点より東方(戸草橋〜飯綱町境)
②信濃ゴルフ倶楽部より北方の下り坂日陰カーブ
③黒姫高原スノーパークから山桑「やまびこ」までの下り坂
④熊坂〜古海(タングラムスキー場方面)の谷間下り坂
⑤柏原〜長野市戸隠
(下記地図参照)
ーーこれは………町民の皆さんも、うんうん、とうなずくところばかりですね。
田中所長:スリップ事故も多いですし、毎年バスが立ち往生したりしますね。とにかく余裕を持って運転していただくことが大切です。
長野市までの安全な通勤道路ランキング
ーーでは、逆に、長野市まで通勤するのに安全な道路って、どこなのでしょうか?
田中所長:一番安全な道と言えばやっぱり国道18号。早朝からしっかり除雪して、融雪剤も散布してますので、比較的安全です。その次は北国(ほっこく)街道ですね。
逆に大雪が降ったらできれば行かない方がいいのは坂中(さかなか)。ただ、一番長野方面に近いんですよね。
ーーそうなんです。国道18号は距離が長いんですよね。だから相当な大雪が降らない限りは、坂中を通ってしまいます……。
田中所長:どうしても坂中を通る場合は、余裕をもってスピードを落としていただくことです。下り坂だったら、しっかりエンジンブレーキを活用してくださいね。
「事故を起こすくらいなら・・・遅刻もあり!?」
ーーでは改めて、私たちが安全運転のためにできることって何でしょうか?
田中所長:一番大切なのは時間と心にゆとりを持つこと。急発進・急ハンドルなど、「急」がつくことはしない。そして、先ほども申し上げましたが、下り坂ではエンジンブレーキを活用すること。
「会社は多少遅刻しても構わない」というくらいのつもりで行ってもらったほうがいいですね。実際、事故になると、半日や一日潰れます。遅刻どころの話でなくなります。
ーー半日や一日……たしかに、そうなったら大変ですね。
田中所長:遅刻しそうなら、会社にきちんと連絡して、次回から気をつけます、と言えばいいんじゃないですか。それは怒られてもしょうがないですけどね(笑)。すみません、と謝るしかないですね。
ーーでも、事故になるよりはいいですね! そして日頃の行いでカバーですね(笑)。
いなかまちの「道路あるある」を聞いてみた
ーー信濃町で車を運転していると、クマ・イノシシ・シカなどの、野生動物と遭遇する場合もありますよね。そういうときはどうしたらいいのでしょうか?
田中所長:イノシシなんかにぶつかってしまうと、車がかなり傷みます。クラクションを鳴らしてやり過ごすとか、静かに通過する、ぐらいしかありませんね。
ーー仮に雪で車が立ち往生してしまったら、どうしたらいいでしょう?
田中所長:一番良いのは引き返すこと。どうしても動けない場合は、JAFに連絡する、任意保険会社に連絡することです。
埋まったときにタイヤで掻くと余計ダメですから、しない方がいいです。普段から「スコップ」「ござ」を車のトランクに備えていただいて、可能であればそれを使うようにしてほしいですね。ただ、もしも交通障害になったら、すぐに警察を呼んでもらえればと思います。
道路の両側の木 、なんとかなりませんか?
ーー個人的に一番聞きたかったことなのですが、道路の両側の木のせいで、困っていることがたくさんあります。日陰ができる、凍る、滑る、落雪がある、車のボディが傷つく、倒木で通行止めになったりもして……。
田中所長:木が張り出している場合は、道路管理者に連絡してください。県道であれば県、国道であれば国土交通省(*)ですね。
「国土交通省関東地方整備局長野国道事務所ホームページ」へリンク
ただ、木が生えている土地の所有者が民間の方の場合、即座の対応は難しいことが多いです。管理者から所有者に連絡する形になると思うので、切る切らないは、その持ち主の判断になります。
ーーなるほど。では、所有者が「よし、切るぞ」とならないと難しいんですね?
田中所長:所有者ではない誰かが勝手に切ってしまうと、それは法律に違反しますからね。あと、もしも落下物・飛来物があれば、それも道路管理者に連絡してください。
ーーわかりました。あと、木が張り出しているせいか、道路の真ん中を走ってくる車が多い気がするのですが・・・?
田中所長:そうですね。道が狭いこともあると思います。信濃町の方だけではなく、県外の方にも、そういう運転を無意識のうちにされる方は多いです。ですから、カーブは特に気をつけてください。
ーー最後に、信濃町民に伝えたいことがあればお願いします!
田中所長:交通事故には気をつけてください。夜、歩くときは、明るめの服装で、反射材をつけていただく。横断歩道を渡って横断するということをご配慮願いたいと思います。
おわりに
今回は、本当に貴重な時間でした!
「急がば回れ」の精神で、ピリリと気を引き締め、平穏な毎日を過ごすために、安全運転に留意したいと改めて思う次第です。
田中所長、ありがとうございました!
取材・文・写真:松下美恵子