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ありえない信濃町通信

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信濃町で夢を実現。イタリアン「NICOLI」で笑顔溢れるひとときを過ごそう。

ありえない、仕事

信濃町で夢を実現。イタリアン「NICOLI」で笑顔溢れるひとときを過ごそう。

信濃町を知る人も知らない人も、こんにちは。
長野の山奥にある「ありえない、いなかまち」それが信濃町です。
3ヶ月前に東京から移住をしてきた野田クラクションベベーと申します。

信濃町では、起業家を支援する「起業等人材育成支援事業」という制度があります。
その支援事業を経てビジネスを立ち上げた信濃町の起業家の話をお届けしようと思います。

▲ 店舗件住宅の素敵なお家

今回ご紹介するのは、田舎町にポツンと現れるハイソ(高級)な建物。

信濃町のなかでも自然が豊かなエリアとされている大井という場所にあるイタリアンレストラン「NICOLI」さん。

信濃町で生まれた草野佑奈さんと愛知県で生まれた草野竜太さんが、なぜ、信濃町でお店をやろうと思ったのかインタビューしてきました。


今回のインタビューの人はこの人たち

ある人に言われた言葉がきっかけで…歌手の夢から飲食をやる夢へと変化

べべ:早速ですが、「NICOLI」さんをやるに至った経緯を教えてもらえますか?

ゆうなさん
元々、歌手になりたいと思っていたんですよ(笑)小学生くらいからずっと…

べべ:え! 歌手!

ゆうなさん
高校の進路決めで、歌手になる夢は将来的に考えて果たして大丈夫なのか…。本当にそれでいいのか。と自問自答しました。

そこで、ある人に「本当にやりたいことは2番目にして、次にやりたいと思っていることを職にするとうまくいくよ」と言われたんです。歌は趣味としてもやってけるし、カラオケでも歌えるし…と。

それで、元々興味のあった料理の道へ進もうと思い、調理の専門学校にいきました。

べべ:通われていた学校は進学校だったんですよね? 先生から大学に行きなさいと言われなかったんですか?

ゆうなさん
言われましたね。でも、大学に4年間通ってやりたいことは特になかったし、それだったら2年間だけど調理の勉強ができた方がいいじゃないですか。なので、長野市の「長野調理製菓専門学校」に通うことにしました。

ただ、調理学校に行ったはいいものの、本当に向いているのだろうか…。と悩んでいたんですよ。そんなときに、先生に声をかけてもらい「全国技能五輪」という大会に出場する機会をもらいました。

べべ:全国技能五輪? いったいなんなんでしょうか?


ゆうなさん
調理だけではなく、大工さんや美容師さんなどが技を競い合う大会です。私は、西洋料理部門で長野県代表で参加させてもらいました。結果は、敢闘賞で4位をもらうことができて、それがきっかけで料理に対して自信を持つことができたんです。

べべ:すごい…ようは全国大会で賞を取ったってことですよね…。お話を聞いていて、夢に向かってどんどん突っ走れるってすごいな…と。

ゆうなさん
いえいえ…逆に周りに応援してもらった感謝の気持ちでいっぱいですし、その経験は今でも糧になっています。いざ、就職となったときに自信を持って東京へと行くことができました。



実家は農家、自分たちの作った野菜がどう提供されているか知りたかった

べべ:長野で身も心も鍛えて、東京で就職をしたというわけですね。

ゆうなさん
はい。 そこで「AWKitchen」という会社に就職しました。新卒は取っていない会社だったんですけど、どうしても行きたくて人事の方にお願いしました(笑)。

▲ファームかずとのメンバー。名前の由来は佑奈さんの弟「かずとさん」の名前から来ているそう
▲人気商品「フルーツコーンゴールドラッシュ」。めちゃくちゃ甘い。


べべ:そこまで、就職したいと思った理由はなんでしょうか?

ゆうなさん
私が中学生くらいのときに親が「ファームかずと」という名前で農業をはじめました。主に年間40万本ほどのとうもろこしを作っていて、そのとうもろこしの収穫体験に「AWKitchen」のメンバーが来てくれたことがあるんです。

私も手伝いでとうもろこしを取っていたときに、箱に詰めてお客さんに届けるところまでは理解はしていたのですが、届いた食材がどのように調理されて、どのように提供されて、お客さんはどういう反応をするのか…という部分は知りませんでした。届けた先を見てみたい…と思ったときに、お取り引き先の会社さんで働くのが1番だと考えたんです。

べべ:採用する側だったら、志望動機が素晴らしすぎて即採用ですね(笑)。

ゆうなさん
ありがとうございます!(笑)そこで、今の夫(竜太さん)に出会いました。



ミュージシャンを目指して上京…しょうもない20代の経験も無駄ではなかった

りゅうたさん
僕の話もざっとしますね。愛知県で生まれて、妻(ゆうなさん)と一緒でミュージシャンを目指していたんですよ(笑)。

べべ:ふたりともミュージシャンになりたかったとは…すごい。

りゅうたさん
名古屋の音大を卒業と同時に上京をして、東京で音楽活動をやろうと思ったんですけど、仕事もしないといけない…ということで、宅配ピザのバイトをはじめました。

20代は本当にしょうもない人生を過ごし、30歳くらいまでずっと働き、バイトリーダーみたいなことをやっていました。お店自体は全国で1番の売上を達成することもできましたね。30代になって節目ということもあり、音楽の活動も特にしてなかったし、就職することに決めました。

自分ができることは飲食関係だったし、ピザのバイトをしているときも、みんなでお店を回していくことが好きだったんですよ。そこで就職したのが「AW Kitchen」だったわけです。
4年〜5年働いて店長を経験させてもらい、妻(ゆうなさん)とも出会いました。妻のお父さんからの声かけもあって2人でお店をやるチャンスをもらい、信濃町に「NICOLI」を作りました。 結果的に、音大で培った感性と20代の頃明け暮れたバイト、レストランでの店長としてのマネジメントの経験が今すべてフル活用できていることは本当に幸運なことだと思います。



「土地を確保したから、帰っておいでよ」と父からのメッセージ

べべ:2人の馴れ初めを聞いてもいいですか?(笑)

りゅうたさん
いります?(笑)

べべ:個人的に聞きたくて…使うかわからないんですけど(きっちり使わせてもらいました)

ゆうなさん
元々は違う店舗で働いていて…各店のメンバーが顔を合わせる機会があったんです。そこで、夫を見て「かっこいい」と思ってたんですけど、歳的には結婚しているんだろうな…くらいに思っていました。

半年くらいたったときに、私の働いていた店舗の店長に「このまえ、(りゅうたさん)がカワイイって言ってたよ〜」と言われたんですよ!でも、名前もわからないし、顔もうる覚えだったので、確かめにりゅうたさんが働いているお店に遊びに行ったんですよ! そしたら、本人がちょうど居て(笑)

りゅうたさん
僕も「あの時にいたカワイイ子だ」ってなって…

べべ:なんすか、そのドキドキする展開(笑)。ずるい、ズルすぎますよ!
じゃあ、そこで仲良くなってお付き合いした感じですか?

りゅうたさん
そうですね。そこから1年くらい一緒に住んでたよね?

ゆうなさん
そうそう。それで、1年くらいたったときにお父さんから「土地確保したから帰っておいで」って言われたんですよ(笑)

べべ:急な展開! 

ゆうなさん
最初は、「え…!?(笑)」と思ったんですけど、りゅうたさんにストレートに「私には飲食店をやりたいって夢があって、結婚して一緒に信濃町に行ってくれる?」と聞いたんですよ。そしたら…いいよって言ってくれたんですよ。

りゅうたさん
だって、結婚するのに文句なくないですか? 奥さんにするには非の打ち所がなさすぎるんですよ。

べべ:すごい…。いいご夫婦すぎます…。それで、いよいよ信濃町へきたわけですね。



自然が豊かな「大井」で笑顔あふれるお店作りへ奮闘

べべ:信濃町にきて、すぐにお店を作られたのですか?

ゆうなさん
いえ、戻ってきて1年くらいは、「ファームかずと」で働きながら、設計士の方とお店のイメージを固めていきました。お店を考えると同時に、住宅も併用した形で作っちゃえ!と、お父さんから背中を後押しされて、店舗兼住宅を作ることになりました。

ゆうなさん
あと、新築する際に町の「住宅取得資金利子補給金」を利用させてもらいました。金利を半分出してくれるのは本当に助かりましたね。

「住宅取得資金利子補給金」とは
町内の金融機関より住宅ローンの融資を受け、町内に本人及びその家族が居住する新築住宅又は中古住宅を取得した方へ住宅ローンの利子に対して最大50万円の補給金を交付します

出典:住宅資金利子補給金(信濃町)

べべ:信濃町のなかでも「大井」というエリアを選んだ理由はなんでしょうか?

りゅうたさん
妻の実家が近いということがひとつあります。東京時代に店舗を作るなら立地が命ということもあり、こんな立地でお客さん来るのかな…と不安でした。

実際には選択肢もなかったのですが、いざ建ててみるとめちゃくちゃ景色がいいんですよ。お客さんも景色を楽しみにしてくれているので、この場所に建ててよかったなぁ〜と思っています。

▲ 店内は開放感があり、めちゃくちゃ清潔

べべ:お店のコンセプトを教えてもらってもいいでしょうか?

ゆうなさん
信濃町には「起業塾(起業等人材育成支援事業)」というものがあるんですよ。

「起業塾(起業等人材育成支援事業)」とは
信濃町で新しい事業を起こす起業家の方、または既存の経営の改善・変革となる「第二の創業」を目指している経営者の方、若手経営者及び後継者、幹部育成のために、経営者としての心構え~収益性・資金調達方法~経営計画(ビジネスプラン)作成までを具体的な起業事例等を交えながら、体系的に学ぶ機会を提供し、参加者の起業等に対する包括的な支援を行ないます。

出典:起業等人材育成支援事業(信濃町)

ゆうなさん
そこで、「出会いとつながりを大切に、笑顔あふれるヒトサラを」という経営理念を作りました。

出会いは、食べに来てくれるお客さんだったり、お店を始めようと思ったときに応援してくれる人だったり…つながりは、野菜を作ってくださっている農家さんや八百屋さんだったり…。食べてくれたときに「笑顔」になってくれるような料理を作りたい! というコンセプトにしました。

▲東京時代から信頼している製麺所の麺と季節の野菜を使った美味しいパスタ
▲信州信濃町で自社栽培している小麦「ゆめちから」を使ったピザ。めちゃモチモチ。


べべ:素敵ですね。笑顔でニッコリで「NICOLI」という店名なのでしょうか?

ゆうなさん
そうですね。笑顔という言葉を入れたくて、笑顔→にっこりみたいなイメージで作りました。

りゅうたさん
東京でやっていたハイソな感じをお店のコンセプトに持ってきたかった。

ゆうなさん
信濃町にいながら、あれここどこだっけ?みたいな感覚になってほしかったんですよね。

べべ:信濃町の生活はどうですか?

ゆうなさん
私は元々、信濃町出身なんですが、東京への憧れはすごいありましたね。就職のときに「よし! 東京にいくぞ!」となったんですが、人が多すぎて一瞬で疲れちゃいましたね(笑)。改めて帰ってくると、自然の豊かさをすごく感じて、いい場所だなぁ〜と再認識しましたね。

べべ:最近、お子様が生まれたんですよね? おめでとうございます。子育てをするのに信濃町は適してますかね…? 

ゆうなさん
私がここで育ってとても良かった思い出があります。自然が近くにあるので、家のなかで遊ぶというより外で遊ぶことが多かったんですよ。小さいころはスキーに行ったり、家の畑仕事を手伝ったり…アウトドアな環境で育った方が都会よりはいいと思うんだよね…どう(笑)?

りゅうたさん
そうだね。都会よりは田舎の方がいいと思う。まぁ、大きくなったら一度は都会も見て来て欲しいとは思うけどね!

べべ:やっぱり、自然のなかで子育できるのが信濃町の魅力なんですね。田舎でお店をやる大変さや面白さってどんなところにあると思いますか?

りゅうたさん
まず、レストラン自体が信濃町はまだまだ少ないので、競合も少ないのがいいのかなぁ…と。東京とかだと日々競い合わないといけませんから。

上越、長野市、松本市、千曲市、小諸市など…広範囲のエリアから、信濃町めがけて来てくれる方が多いのは嬉しいですね。

ゆうなさん
あとは、いい意味で混みすぎないので、お客さんとコミュニケーションをしっかり取れるのは嬉しいですね。

りゅうたさん
僕たちが目標にしているのが「NICOLI」に来てよかった! もう一回行きたいな! と思って貰えることで。そのために努力しています。NICOLIをきっかけに信濃町を気に入って貰える人が増えたら嬉しいですし、そうなったら面白いですよね!

べべ:今後の目標はありますか?

ゆうなさん
1年ごとに新しいことにチャレンジしたいと思っています。今だと、ビアガーデンとかやりたいなぁ〜と。近所のおじちゃんおばちゃんが農作業終わりにそのままの格好でお酒を楽しみたいらしいんですよ(笑)。



「田舎」という立地だからこその良さがある

インタビューを受けて、「田舎」でやることのメリットが素晴らしいと思いました。確かに、立地がいいところにやれば人もたくさん来るし、商売としては繁盛するかもしれません。

その一方で1番見落としがちな「お客様」の満足度が薄くなる可能性もありますよね。

田舎で提供できるのは「ご飯」だけではなく「景色」「ゆとり」だったりするのかもしれません。

田舎での起業に興味のある方は、是非、一度、信濃町に訪れてみてください!

営業時間:
LUNCH11:00-15:00 <LO/14:00>
DINNER17:30-21:00 <LO/20:00>
CLOSE木曜日定休 ※ディナー営業は、前日までの完全予約制となります。 ご予約の入っていない日はお休みさせていただきます。
TEL:026-217-1725
住所:〒389-1316 長野県上水内郡信濃町大井297-1

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