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ありえない信濃町通信

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全部でいくらかかった?信濃町で空き家を買ってリノベーションした先輩4人に費用や醍醐味を座談会形式で聞いてみた

ありえない、住まい

全部でいくらかかった?信濃町で空き家を買ってリノベーションした先輩4人に費用や醍醐味を座談会形式で聞いてみた

「家を買う」
都会では何千万円が当たり前の買い物が、ここ信濃町では数百万円台で実現できてしまいます。その理由は格安の空き家や中古物件がゴロゴロ転がっているから。

しかし、空き家で快適な暮らしを送るためには何かしらのリフォームが必要。「家を安く買えるのは嬉しいけど、実際暮らし始めるまでどのぐらいかかるの?」というのは移住希望者からよく上がる質問のひとつだそう。

そこで今回は、信濃町で空き家を格安で購入し、リノベーションをして理想の家を作り上げている4人の移住者の方々にお集まりいただき、ざっくばらんにお話をしていただきました。

  • 空き家を探したときの条件
  • 物件取得価格
  • リノベーションをするにあたって考えたこと
  • DIYの楽しさと苦労したこと
  • リノベーションにかかった費用

などについてお話を伺います。



今回お話を伺った方々

東京・名古屋・京都の都会から信濃町へ

――今日はよろしくお願いします。まず皆さんは、どちらから長野に移住してきたのでしょうか?

村松: 僕は東京の練馬区から移住してきました。現在は奥さんと2人で暮らしています。最初は黒姫山のあたりで家を借りていたのですが、信濃町の古海(ふるみ)地区で良い家を見つけて引っ越しました。

川村: 僕は愛知から来ました。それまでは奥さんと名古屋でマンション暮らしをしていました。

池田: 私は北信(長野県北部)の出身です。東京の大学に進学し、卒業後もずっと東京で働いていました。

矢持: 私はもともと、京都で革鞄や革小物をつくる工房と教室を経営していました。奥さんと、小学校6年生と2年生の子どもがいます。

――皆さんが信濃町に移住した理由を教えていただけますか?

村松: 山に囲まれた田んぼと集落という景色への憧れがずっとあったんですよね。いつかそういうところに住めたらいいなと思っていて。あと海や湖や山で遊ぶのが好きなので、そういったフィールドへのアクセスが良いのもポイントでした。

川村: 住んでいたマンションが取り壊しになって、住めなくなっちゃって。立ち退き料として新しい住まいへ引っ越せるだけのお金を出してもらえることになり、せっかくなのでこのタイミングで移住しようと思いました。

池田: 2020年のコロナ禍をきっかけに「もっと楽しいところで暮らしたい」と考えるようになったのが理由です。子どもは水遊びが好きですし、涼しいところがよかったので、海・川・湖などが近いところを考えました。
最初は長野県全体で移住先を探していましたが、「ありえない、いなかまち。」のブログを読んで、信濃町に興味を持ちました。調べてみたらすごく良い物件があり「ここならいいね」と決めました。土日は野尻湖に行って、子どもと水遊びをしています。水戸口公園にもよく行きますね。

矢持: 京都に住んでいたころは、工房で6畳、教室6畳の広さしかありませんでした。すごく狭くて、ぎゅうぎゅうでしたね。「借りぐらしのアリエッティ」に、ぎゅうぎゅうの場所でものを作るお父さんが出てくるのですが、あのようなイメージです。ストレスがたまってしまい、広いところに住みたい、子どもも広々とした環境の田舎で育てたいと思っていました。仕事があるのでなかなか難しかったのですが、コロナ禍をきっかけに移住を決めました。

全員が最初の値段よりも安く家と土地を取得

――皆さんはどのような家を購入したのでしょうか? また物件を探すにあたって、「ここは譲れなかった!」という条件があれば教えてください。

村松: 自分たちが食べるものは自分たちで作りたいと考えていたので、田んぼや畑があることは絶対条件でした。購入した家は、平屋で、そこまで広くはないのですが、キッチンを入れて8部屋ありました。さらに田んぼが4枚、畑が3枚、倉庫兼納屋もあります。田んぼや畑は、買った当時は荒れてしまっていたので、今は少しずつ再生させているところです。

川村: 予算は多くても2~300万で、安ければ安いほど良いというのが条件でした。信濃町は安さと、駅があるなど交通の便が良くて惹かれました。他にも気になった物件はあったのですが、実際に見に行ったのは1軒だけで、すぐそこに決めました。

池田: 最初は、賃貸に住みながら家を探すつもりでした。信濃町は小中学校が1つしかないので、町内で引っ越したとしても学校が変わらないのが良いなと思いました。しかし、たまたま柏原地区で安く手に入る家を見つけたので、購入を決めました。
本当は、もっとのどかな場所に住みたいと思っていたのですが、奥さんの挙げた条件に、「街灯があること」「下水が通っていること」「小学校、中学校に歩いて通えること」というものがあったので、それを尊重しました。

矢持: 工房をつくれる広いスペースが条件でした。ただ最初は予算がなかったこともあり、街中ではなく、あえて土地の値段が安い豪雪地帯で探していました。
実はもっと安い「事故物件」に住むつもりだったんです。しかし長野市内に住む奥さんの両親に伝えたところ「事故物件は困る」と言われてしまって。「今すぐ引っ越しをしないといけないから」と伝えたところ援助してもらえることになり、予算が増えました(笑)

――皆さんが購入した家の金額感を教えてください。

村松: 具体的な額は公表できないのですが、最終的に信じられないような価格で譲っていただきました。さらに除雪機も、馬力があるものを残してくれたり、農業系の資材も全部置いていってくれて。できるだけ出費を抑えたかったので、登記手続きも自分たちでやりました。

川村: 最初は100万円だったのですが、残置物が多かったこともあり、なかなか買い手がつかない物件でした。「残置物はこちらで片づけますので」と提案して、最終的に30万円になりました。ただ購入したのは移住ブームより少し前。さすがに今は、ここまで安い物件はないかもしれませんね。

池田: うちは400万で販売されていました。大きすぎるし最初は無理かなと思っていたんです。しかし実際に見に行ってみたら日当たりがすごく良くて、冬の終わりでも暖かかくて。売り主さんに「子連れで移住したいのですが、予算オーバーなんです」って相談したら、取り壊す予定もあったようで、大幅に価格を下げていただけました。購入後のリノベーションの出費を考えると、物件価格が抑えられてよかったです。

矢持: 購入した物件はもともと印刷所でした。売り主さんに相談したところ、最初の販売金額から2割ほど値引きしていただくことができました。残置物がほぼなく、空っぽの状態だったので、工房をイメージしやすいのがよかったですね。

夢が広がる、四者四様のリノベーション

SUPを収納できる土間を仲間たちと自作(村松さん)

――続いて、どのようなリノベーションをしたのか教えていただけますか? 村松さんからお願いします。

村松: 最初に、自分たちがどう暮らしたいかをイメージしました。うちは畑があり、趣味がサーフィンやスノボなので、絶対に泥だらけで家に帰ってくるんですね。なので汚れていても入りやすい家にしたいというのが第一にありました。また、家族や仲間が同じ空間でナチュラルに過ごせる家にしたいと思っていました。
しかし購入した家は、玄関からいきなり3つの部屋に分かれていました。それが嫌で、まず壁をズコーンとぶち抜いたんです。次に「汚れても入りやすいのは土間だろう」と思って床にコンクリートを流し込みました。あまり予算はなかったので、廃材や古材で壁を塞ぎながら。天井もガッと高くしたので、SUP(サップ:スタンドアップパドルボード)やロングボードも縦に入れられるようになりました。土間なので泥だらけで入っても怒られません(笑)

玄関から分かれていた3つの部屋。村松さん自身が解体作業を手がけた。
リノベーション後は多趣味な村松さんのライフスタイルにマッチした、開放感のある土間に大変身。

――土間は自分で作ったんですか?

村松:  はい。自分の周りの信濃町の先輩や仲間に「こんな土間にしたい」というのを伝えたところ「それくらい自分でできるよ」といわれて。最初はノウハウも道具もなかったので、都度「これはどうやってやればいいんですかね?」と電話で相談しました。みんなことあるごとに様子を見にきてくれて「これはこうした方がいいよ」とアドバイスをくれたり「この道具を使っていいよ」と置いていってくれたりしました。僕は「LIBRANT」(リブラント)というNPOもやっているのですが、その仲間たちがも手伝ってくれて、おかげさまで、なんとか形になりました。
また、町内の水道屋さんに、すごくよくしてもらいました。「若い人が信濃町で生活してくれるだけでうれしい」と、あらゆる面でサポートしてくれました。

今もゲレンデや野尻湖に遊びに行く途中にみんな立ち寄ってくれて、僕が畑をしていると「やってるねー!」と声をかけてくれます。まさに理想的な暮らしになっていますね。 

キッチンは奥さんと相談を重ねてイメージを構築。古い印象の水回りも、リノベーション後は明るくモダンな印象に。

除雪機が入れるよう玄関をDIY、思い立ったらリノベ(川村さん)

――川村さんのリノベーションは「ありえない信濃町通信」の記事格安の空き家って実際どうなの?空き家のDIYリノベーション真っ最中の移住者に聞く本音でも一度紹介されていますね。

川村: はい。まだまだ完成ではなくて、その記事が公開されてからも都度リノベーションをかけています。
最近はドアのリノベーションをしました。うちは玄関の前に車庫がある作りになっています。車庫にはシャッターがあり、横にはガラガラと引く昔ながらのドアがありました。このドアがボロボロで、かつ片引きなので除雪機が通らないので課題で。なんとか除雪機を通したかったので、ドアを全部取っ払って、廃材で両開きのドアを作りました。

普段の出入りは写真右側のドアのみ使用。冬場は両側を開けて除雪機を通せるように川村さん自ら設計と施工をおこなった。

川村: 建築関係で働いているので、廃材は勤務先から貰えることも多いです。職場で住宅のリノベーションを直接手掛けているわけではないですが、リノベーションに必要な知識はちょこちょこ身につきますね。

普段使うテーブルや棚も川村さん自作のもの。

役場の仕事をこなしながら副業で自分のお店を準備(池田さん)

――池田さんはどんなお家をリノベーションしたんですか?

池田: 僕が今住んでいるのは、築50年の物件に、築40年くらいの2階建ての物件がくっついているものです。信濃町って、けっこう増築物件が多いんですよね。築50年の方の形が好きで、そちらで自分のお店と工房を開こうと思っています。壁を全部抜いて大きなガレージみたいにする予定です。生活は築40年の部分でしようと思っていて、今はそちらに手を加えています。

 現在リノベーション途中の生活空間。木工のスキルを生かしてキッチンは池田さん自ら造作。

池田: まだ手つかずですが、来年の春にはお店を開きたいなと思っています。ただ春になって水回りが完成して「これから大工仕事をやるぞ!」となったタイミングで役場の仕事を紹介されました。悩みましたが、4月末からは役場で働いています。

――役場は副業OKなんですか?

池田: はい。副業申請をしたので、工房をやるのは問題ありません。役場ではNPOを立ち上げている人もいますし、農業を営んでいる人も多いですね。工房には子どもたちがワークショップをするスペースや、レーザーなどの機械を置いて地域のものづくり好きな人が集まるファブラボみたいな場所にできたら面白いかなと考えています。

広い工房のものづくりを叶え、都会のストレスから開放(矢持さん)

――最後に矢持さんのリノベーションについて聞かせてください。

矢持: まず田んぼや畑の整備にとりかかりました。次に、トイレが汲み取り式だったので下水工事をやりました。30mくらいあるコンクリートを切って、下水の管を通すのに1か月、そのあと便器を置いたりで1か月かかりました。
移住したのは2020年ですが、その10年前、2010年に京都でお店を始めたときも、全部DIYで作ったんですよ。そのときに道具をあらかたそろえました。ただ当時は大きいものを置くスペースがなかったので、スライド丸のこぎりなど大きい道具は移住後に買いました。

 工具が整理された矢持さんの工房。京都で暮らしていた頃に比べて、大きな機材や木材の取り回しもよくなった。

矢持: 移住前に住んでいた自宅兼工房はスペースがなくて、狭いところで無理やり道具を使っていたので、すごくしんどかったです。
あと街中でものづくりをやっていると通りがかる人に「なにやってるの?」「どうなってるの?」ってめちゃくちゃ見られるんです。それもストレスに感じていましたね。でもこちらの人たちは、皆さんものづくりをするじゃないですか。だから僕がウイーンと機械を動かしていても、「また何か作ってるわー」というくらいで、それが普通なんですよね。

矢持さんが営むクラフトスクール「AIDANA」の教室。作業机や棚などはすべて矢持さんがDIYで制作。

InstagramやPinterestをリノベーションの参考に

――皆さん、それぞれ好みがあると思います。皆さんのこだわりや、リノベーションするにあたって、参考にしたものを教えてください。

村松:  僕は基本的に効率化されたシンプルなものが好きなんです。でも僕が住んでいる家は、一度昭和にリフォームしていて、当時の流行の内装になっているんですね。だから「漆喰の上に変なものを塗ってるなー」と思ったら、それらをはがして、漆喰を塗りなおしています。余計な装飾は全部取っ払って、手つかずの部分に寄せて、できるだけ自分の暮らしのスタイルに合う空間に変えていっています。

矢持: 僕はPinterestを使って、好きなイメージをストックしていました。アイデアをもらうというよりは、自分のやりたいこと、好きなことを振り返るのが目的です。最近は頻繁に見ることはないんですが、たまに見てみると「ああ、自分はこんなのが好きなんだな」と自分の目指す方向性がハッキリわかってきていいですね。

川村: 僕はInstagramとかを見て「この部屋の雰囲気が好きだな」というのがあったら、どんどんストックしています。イメージしているのは、10年、20年経っても安っぽくならない、味のある家です。たとえばシートを貼った既製品の家具とかって、すぐに安っぽくなるんですよね。無垢材でつくれば、経年変化で味が出てくるし、だめになっても削ればどうにでもなる。
僕が住んでいた愛知には「明治村」というのがあるんです。そこには明治時代の建物が移築されていて、洋と和が入り混じったようなのがたくさんあって。そこがすごく好きで、フリーパスを買ってたまに一人でぶらぶら歩いていました。新しければ何でもいいってわけじゃないんですよね。

池田: 僕もInstagramです。「#タイニーハウス」というハッシュタグを見ていました。虫がちょっと巣をつくるような感覚で作られた、最小限の無防備な家に惹かれます。前から動物の中で、人間だけが自分の巣を自分でなかなか作れないというのに違和感を持っていて。簡単なのでもいいから、自分でちょっと手を動かして作ればいいのになっていつも思います。理想は広大な土地を買って、その中にタイニーハウスを建てることです。ただそれだと街灯がなくて奥さんが困ってしまうので、そこは折り合いをつけていますね。子供はまだ6歳と2歳なのですが、大きくなったらもう1軒建ててみたいですね。

気になる先輩たちのリノベーション費用

――ところで、リノベーションの費用っていくらぐらいかかりましたか?

村松: 自分たちでやった土間コンと業者さんにやってもらったユニットバスの工事で200万円くらい。それと、内装やキッチンシンク、照明などで50〜60万くらい。全部で300万出してお釣りがくるぐらいの予算感ですかね。

池田: うちも同じく300万円いかないくらいかなあ。床と壁を全とっかえしたので断熱材の費用が地味にかかってて、そこだけで50万円ぐらい。あとはトイレ、キッチン、ボイラーを新調したのと、お風呂もユニットバスに入れ替えました。

川村: 100万は絶対かかっていないですね。給湯器とか、リノベーションの補助金(信濃町空き家改修等支援事業補助金)を活用していますし、材料はネットを活用してなるべく安く買うようにしています。
工具は移住前から持っていたものが多いので、それを使っています。昔から、例えば「机がほしいな」と思ったら、買うよりも自分で作っていました。自分で作った方が、サイズ感など自由度が高いですから。

矢持: うちは150万くらいかな。道具はヤフオクでいろいろ買っています。僕は鶏や烏骨鶏を飼っているのですが、最近、鶏のエサであるキャベツを刻む機械をヤフオクで安く買いました。ただ単に葉っぱを与えるだけだと、食べる子と食べない子がいて、栄養が偏ってしまうんですよね。刻んでおくと、みんな食べてくれるんですよ。
ネットではジャンク品も活用しています。たとえば革に刻印するホットプレスという道具があるのですが、20万円くらいするものが7000円で売られていたんです。ちょっと直すだけで普通に動いて、今でもめっちゃ使えています。

楽しいだけじゃない、リノベーションで苦労したこと

――リノベーションで大変だったのはどこですか?

村松: 今まであまりDIYをしてこなかったので、経験値が少なくて大変でした。たとえば、壁に漆喰を塗るときも、失敗が目立つ手前の方から進めてしまって、手前が汚くて奥に行くほど綺麗という状態になっています。あと奥さんと喧嘩してイライラして、投げやりにバシーンと塗ったところがメッコメコになってしまったり(笑)。まあ、それも含めて思い出ですね。
ちなみに昔は1ミリ2ミリの誤差をあまり気にしない性格だったのですが、DIYでは、誤差を放置したまま作業を進めてしまうと、後々のフォローが難しくなるじゃないですか。そのせいか、移住前よりも細かい性格になったかもしれません。

川村: トイレが大変でしたね。全部自分でリノベーションしましたが、トイレは正直あまりやりたくなかったんです。きれいな場所じゃないから解体するのも気が進まなくて。解体はゴミもホコリもネズミも出てくるから本当に楽しくなかった(笑)

池田: 水回りです。下水が通ってなくて、壁をはがして、床をはがして、水道屋さんを呼んで、配管を引いてもらいました。実は冬の間に床や壁を仕上げる予定だったのですが、冬になって除雪の仕事を始めたので全然できなかったんです。今年は雪がたくさん降って除雪が忙しかったので。
年明けになって水道屋さんから「4月までに完成後の写真を撮らないと、助成金がおりないよ」と連絡をもらい、2、3月で何とか水回りだけは完成しました。

矢持: コンクリートを削る斫り(はつり)という作業です。ものすごい重労働で、作業完了後も1年以上腕に痛みが残るほど大変でした。もう二度とやりたくない(笑)

矢持さんが斫り作業をしている際の写真。「大変でしたけど、昔70歳ぐらいのおばあちゃんがこの作業をしているのを見かけたことがあったんですよ。まだまだ若い自分が音を上げてられないぞと思いながら頑張りました」

移住リノベ生活に憧れるあなたへ、先輩たちからのアドバイス

――最後に今、移住を考えている人、特に「安めの物件を買って自分で直したい」と考えている人たちに向けて、経験者の皆さんから一人ずつアドバイスをお願いします。

川村: 「何とかなる」ですね。やってみたら何とかできる。一人でビルを建てるのはさすがに無理だけど、一般的な工事は1人でやっていることも多いですよね。解体業者も水道業者も一人の人間じゃないですか。同じ人間なんだから、自分でもがんばればできるのかなと思います。
あと業者と違って、採算関係なく好きなようにできるのがDIYの良さですよね。YouTubeを見れば、参考になる動画もたくさんあります。やるまでが大変だけど、やっちゃえば楽しい。何とかなります。やろうという気持ちが大事ですね。

池田: 移住者同士のつながりを増やしていくのがいいかもしれません。コミュニティがあれば、情報共有ができて、業者への伝手も増えるから、何かあったときに頼りやすい。役場でも今後、そういったイベントを実施していければなと思っています。

矢持: 自分でやっていると、最初は楽しいんですが、途中で面倒くさくなるときもあると思います。そんなときにやる気を出すスイッチがあるといいですね。僕の場合は飲食店でアルバイトをしてしんどかった記憶です。餃子を焼いていたのですが、暑さでぶっ倒れそうでした。水を飲んでも飲んでも、水分が身体に入っていかなくて。その頃のことを思い出して「あれよりは楽だから、やらないとな」とスイッチを入れています。

村松: 信濃町に住んでいる人たちは、家の改修に限らず、みんな普通に手を動かします。ご飯を食べるのと一緒で、それが当たり前になっているんですよね。最初は大変かもしれないけど、信濃町で暮らすことで、その生活を自然に受け入れられるようになるんじゃないかなと思います。

格安の空き家を買って、DIYで理想の暮らしを作り上げる

DIYでリノベーションと聞くと「とにかく予算を抑える」という方向に考えが向きがちですが、今回皆さんのお話を聞くと「課題を解決しながら理想の暮らしを作り上げること」や「今までできなかったことに挑戦してみてできるようになること」を楽しんでいるのが印象的でした。

信濃町への移住を検討中の方で新しいことに挑戦したい人や、自分であれこれ解決するのが好きな人は今回お話を伺った4名の方々のように、空き家を買ってリノベーションして暮らしを作っていく、という選択肢もアリなのではないでしょうか。

信濃町の空き家情報は以下のページで随時更新されています。リノベーションしがいのある物件や格安の空き家も数多く登録されているので、ぜひ一度アクセスしてみてください。
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町民ライター 観音クリエイション

ヒップホップのトラックメーカー、ライター。音楽を作ったり、写真を撮ったり、文章を書いたりして生きています。2020年8月より長野県信濃町に移住しました。

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