ありえない、住まい
格安の空き家って実際どうなの?空き家のDIYリノベーション真っ最中の移住者に聞く本音
「ありえない、いなかまち。」がオープンしてから、もうすぐ5年。この5年間、本サイトで不動の人気No.1のコンテンツがあるのですが、何か分かりますか?
正解は、、、空き家情報です!
数年前に空き家問題が注目されて以降、様々なメディアで田舎の空き家をリノベーションしたおしゃれな住宅や店舗を見かけるようになりました。 皆さんの中にも、安い空き家を買って、自分で思い通りに改装してみたい!と考えている方もいるのでは?
でも実際のところ、空き家探しやセルフリノベーションってそんなにうまくいくものなのでしょうか。
ということで、今回は実際に本サイトにも掲載していた空き家を購入され、DIYで家を改装しておられる移住者さんにお話を聞いてみたいと思います!
今回インタビューをした方
空き家との出会い
――まず、どのようにしてこの物件を見つけられたんですか?
Noriさん:
もともと楽園信州の空き家バンクのサイトで家を探してて。当時住んでいた名古屋のマンションに立ち退きの話があがって、それなら前から移住したいと思ってたし、いいきっかけかなと思って田舎の物件探し始めたんだよね。
Marinaさん:
わたしは犬が飼いたかったから、一軒家がいいなと思ってたの。
――場所は長野県で、と思われてたんですか?
Noriさん:
そうだね、趣味のバイクとかスキーで長野にはよく来ていたし、名古屋からも近いし、とりあえず長野で探してみようと。で、サイト見はじめて1~2週間でタイミングよくこの家を見つけて。
Marinaさん:
この家が安かったんだよね。 それですぐに信濃町に見に来たんだけど、キッチンは結構すごかった(笑)
キッチンをセルフリノベーション
Noriさん:
この家は手前の建物(キッチンやトイレなどの水回りがある)と奥の建物で築年数が微妙に違うんだけど、 たぶん50年は経ってる物件で、手前の方はひどかったよ。
Marinaさん:これが前のキッチンの写真。
――これは、、空き家物件によくある古い台所ですね。今の姿からは想像つかない。
Noriさん:ここは壁から床から天井から全部やったよ。
Marinaさん:
この煙突みたいなのは古いお風呂の湯沸かし器。最近給湯器も替えたからこれはなくなったの。
Noriさん:お風呂はシャワーもなかったから自分で付けたし、洗面も替えたね。
―― キッチン本当に生まれ変わってますね。白いタイルかわいい!
Marinaさん:
このタイルはわたしが貼ったの。こういう細かいのはわたしが担当で、大掛かりなのはNoriさん担当。
――Noriさんはもともとそういう家の改装とかのお仕事されてたんですか?
Noriさん:ううん、全然。
Marinaさん:
趣味だよね。いろいろ作るのが好きで、テレビ台とかも作ったやつだしね。
Noriさん:
俺のパソコン台なんて15年前ぐらいにつくったやつなんだよ。だから家具みたいなものは買うより結構作ってたかな。
気に入った空き家をスピード購入!
――DIYの経験がおありだったから、この状態の家を見ても「良いな、買おう」と思われたんですか?
Noriさん:そうだね、安かったし、交渉してさらに下げてもらえたから。
Marinaさん:
そう、家に残っていた荷物を廃棄するのに、業者に頼むからお金がかかるって聞いていたからね、片付けは自分でしたの。
Noriさん:
この家の前の持ち主さんは、お金が欲しくて売りたいんじゃなくて、この家のメンテナンスが大変だったから手放したかったんだけど、生まれ育った家が無くなるのも嫌だし、誰かが住んでくれたらって考えていたみたい。だから、自分たちで荷物を片付けるって言ったら、値段を下げてくれて。
それで、仲介してくれたくろひめ観光・不動産の柏原さんにも相談して、格安で譲ってもらう話になったんだよね。
――価格交渉はしてみる価値ありですね。他の物件とも見比べたりしたんですか?
Noriさん:見なかったね。本当にここだけ。
Marinaさん:Noriさんはここ気に入ってたの。
Noriさん:
実際に家の中に入ってみて、雰囲気が悪くないし、きれいだったからさ。前の持ち主さんがちょこちょこ掃除に来られていたみたいで。
たまに楽園信州とか空き家のサイトで安いのを見てると、ほぼ廃墟みたいなのがあるけど、ここはそうじゃなかったから。
Marinaさん:
そう、全然住める状態ではあったね。水回りは汚かったけど、使えることは使えたから。
Noriさん:
その辺は全部やり直す予定だったし、でも何もしなくてもとりあえずは住めたの。立地も含めて総合的にいいなと思って。
それに前のマンションの退去の期日も一応あったから。 立ち退きの話がでたのが10月で、冬に引っ越すのは大変だから、雪が溶けるころに引っ越そうと思っていたからね。
――そうか、他を見たりとか迷っている時間がそんなになかったんですね!
Marinaさん:早く決めないと住む家がなくなっちゃうから(笑)
Noriさん :そういうことで、もう4月に信濃町に移住しちゃえってことになったんだ。
手を入れたらどんどん良くなるのが古い家のいいところ
―― 住み始めてみて、買う前に気づいてたら良かったなとか、後悔している部分ありますか?
Noriさん:
まったく無いね。なんて言ったって格安だから、なにが起こっても不思議じゃないでしょ。もし住めなくなったとしてもそんなに後悔はない。これがもっと高額で買っていたら、ちょっと腹も立つかもしれないけど。
買ったときの状態がほぼゼロのレベルだから、手を加えるとどんどん良くなって、快適になっていくじゃない?悪くなることはない、それがいいんだよね。
Marinaさん:
Noriさんそれよく言ってる。新築の家に住むと、住んだ時点が100でそこから上がっていくのって大変だけど、もともとのレベルが低いと上がっていくしかないって。
Noriさん:
もともとダメで当然だから。床が傷んでるとか、あとから気づいたところはいっぱいあるよ。
Marinaさん:雨漏りもあるしね。あと最近水道管もちょっと漏れてる(笑)
Noriさん:
そう水道管は冬までにやらないとと思ってる。とにかく直さないといけないところはまだいっぱいあるんだよね。
――お二人とも、多少古くて不具合あっても自分たちでなんとかできるっていう自信があったってことですね?
Marinaさん:
そうだね、わたしはあくまで助手だからNoriさんに言われたとおりにやるだけだけど、まあ古い家でも大丈夫かなって。でもちゃんと要望は言ったよ。キッチン汚いからきれいにして、トイレもきれいにして、とか(笑)
Noriさん:
水回りはね、ちゃんとしとかないと女の人は絶対嫌でしょ。だからMarinaの要望聞いて、キッチンはなかなか真面目に作ったよ。仕事でCADもやったことあったから図面もつくって。
――図面まで!かなり本格的ですね!このキッチンの改装はどれぐらいの期間でされたんですか?
Noriさん:
ゆっくりやってたから1ヶ月ぐらいかな。あとトイレと洗面・脱衣とで。
Marinaさん:
キッチンの天井と壁塗ったり、食器棚つくったり、ダイニングテーブルつくったりも含めてね。
――そういう作業ってMarinaさんは楽しかったですか?
Marinaさん:わたしはね、大変だった (笑)
Noriさん:
楽しいといえば楽しいけど、基本的に大変だよね。ただ俺はできあがった自分の作品が大好きだから、完成したのをこうやって見て酔いしれるのが好きなの(笑)
Marinaさん:
そうそう、できたばっかりの頃は一人でキッチンにいて眺めてたよね 。
――これから空き家を購入して自分で改装しようと思っている方に、購入前に気をつけるポイントなど何かアドバイスはありますか?
Noriさん:
格安で売り出してるような古い家は、基本水回りは全部変えないといけないと思うから、それを自分でできるのかどうか。自分で全部できるんだったら、かなりボロくてもいいけど、そうじゃないなら多少新しい家も視野にいれないと。
――お二人の場合はご自身でかなりのことができるから、水回りの古い家でも安く購入できたのが正解だったということですね。
Marinaさん:
Noriさん本当はお風呂も作り変えたいんだよね。こないだYoutubeでバスタブ入れ替える動画見てたんだよ(笑)ただ、やってる間お風呂がなくなるからどうしようかなって。
Noriさん:
そう、住みながら改装するってなかなか大変なんだよね。そういう苦労も含めて、楽しめる人ならいいと思う。でも楽しめない人、人任せにする人は格安物件は勧めないかな。
――どの程度のことなら自分の力で楽しんでできそうか、しっかり考えた上で物件選びをすることが大切ですね。
Noriさん:
あとアドバイスというか、自分で実際にその家に入ってみて、雰囲気が嫌じゃないか。この家の場合は雰囲気は悪くなかったんだよね。
Marinaさん:ちょっと暗かったけどね。でも古くても雰囲気は良かった。
――ずっと住む家なので、そういう感覚的な部分での物件との相性というのも大事ですね。
家ありきの移住だったけど、結果、信濃町で良かった
――信濃町のことは物件を見に来られたときにはじめて知ったんですか?
Marinaさん:そうだね、ほぼ初めて。通ったことはあったよね。
Noriさん:
赤倉(信濃町の隣の妙高市にあるスキー場エリア)は来たことがあったから、そのときに通ってた。
――実際に信濃町に移住してみてどうですか?
Noriさん:
雰囲気いいよね。(Marinaさんの出身の)岐阜のほうって谷だからまちが狭いんだよね。でもこの辺はひらけてて、山もきれい。あと交通の便がいい。
Marinaさん:
長野市とか中野市とか、ちょっとした都会に行くのに30分ぐらいで行けるから。
Noriさん:
名古屋にいたって、結局買い物行くのに車出したって、渋滞して30分はかかってたからね。
Marinaさん:
そう、信号待ちが長いからね。 距離はこっちの方が長いけど、かかる時間はそんなに変わらないよね。
Marinaさん:
あと犬を飼うにはめっちゃいい。犬と遊べるところがいっぱいあるし、野尻湖もあるし、黒姫(高原)もあるし。雪も犬はうれしいし。
でもこの家がなかったら、他の場所に住んでたかもしれないけどね。
Noriさん:
ぜひ信濃町に住みたいってわけじゃなかったからね。でも結果良かった。移住なんて、やってみないとわからないよ。
Marinaさん:
移住に失敗したからって死ぬわけじゃないんだから、やってみたらいいよね。
Noriさん:
安い家買うとやっぱりそこは気楽だよ。ローンがないとその物件に縛られないでいいから。 嫌なら引っ越して、この家は誰かに貸しちゃえばいい。
Marinaさん:月々の支払いがないと、気持ち的にも追われないからいいよね。
Noriさん:
だから仕事も割とのんびり探せたし、タイミングよく募集してた町内の企業で決まったから、近くて自由が増えた。建築関係だから勉強にもなるし、余りものの廃材譲ってもらえたりするから結果やっぱり良かったよね。
――この空き家との出会いからいろんな幸運が重なっている気がしますね。
Noriさん:
やっぱり縁とタイミングだね。だから移住を考えてる人は、迷ってないで、とっとと動いたほうがいいよって思う。
Marinaさん:
それはそう。若いほうが就職するにしてもやっぱりチャンスは多いと思うし、早ければ早いほうがいい。
Noriさん:
もちろん歳とってからっていうのもいいけど、若いうちに来るのも本当にいいと思う。あまり深く考えずに。なんとかなるよ。
古い家も移住もポジティブに楽しむ
古い空き家を自分たちの手で少しずつ、より快適な家に生まれ変わらせているお二人。改装後の写真を見ていると、憧れや想像ばかりが膨らんでしまいますが、実際はやはりセルフリノベーションは大変なことが多いよう。
事前にしっかり自分がどこまでできるのかを考えた上で、どんな物件を選ぶべきか、どの部分はプロの手を借りるべきか、など計画して挑むのが良さそうですね。
また、お二人のように「ダメでも仕方ない」「なんとかなる」というポジティブさも大切なのかもしれません。お二人がタイミングを逃さず良い縁を掴むことができたのも、ポジティブさが後押しする潔い決断があったからこそだったのではないかと思います。
皆さんももし気になる空き家と出会えたら、タイミングを逃さずに、まずは問い合わせからでも行動してみるのはいかがでしょうか。