ありえない、仕事
手作りの温もりあふれるベーカリーカフェ 「たねcafe⭐︎革工房 種」
こんにちは、町民ライターのAyaco*です。私たち家族が信濃町にUターン移住で戻ってきたのが2014年の2月。引っ越してきてすぐ、近所のベーカリーカフェ「たねcafe⭐︎革工房 種」を訪ねて、「超かわいいっ!!こんなおしゃれなカフェが信濃町にあったなんて!」と驚きました。オープンしたのは2013年とのこと。
添加物を使わない料理と手作りのパンやマフィンが地元で大人気。店内では、革細工などのハンドメイド作品の販売もしています。
今回は「たねcafe⭐︎革工房 種」店主である志保さんにお話をお伺いしました。
今回インタビューした方
信濃町の野菜のおいしさに感動!
──私の子どもの頃の記憶では、こちらの建物は確か農機具屋さんだったような……最初にお邪魔したとき、すっかりおしゃれな空間に変わっていて驚きました。この場所は、どうやって見つけたんですか?
志保さん:
信濃町に来る前は長野市に住んでいたんですが、私たち夫婦はふたりともスノーボードが好きだったので、庭で雪遊びができるところに住みたいと思って探していたところ、知り合いの方が紹介してくれたのがここでした。
──カフェをやる予定で場所を探したんですか?
志保さん:
引っ越してきた当初は、そんなつもりはぜんぜんなかったんです。なんとなく憧れで「いつかカフェをやってみたいな」と思ったことはありましたが。
でも実際に信濃町に住んでみたら、まあ野菜が美味しいこと! 野菜の美味しさに感動して、「これを活かしたことが何かできたらいいな」と思うようになりました。それで少しずつ自分たちで建物の改装をして、空間を作っていきました。
──お店の改装はすべてご自分たちで手がけられたんですか?
志保さん:
そうですね。自分たちのできる範囲で、楽しみながら作っていきました。テーブルなど大きなものは夫が作って、私は壁を塗ったりタイルを貼ったり。それぞれ自分の好きなように作ってたんですが、できあがってみると、なんとなく調和してるので、やっぱり好みが似ているのかもしれませんね(笑)。
──材料はどうやって入手されたんですか?
志保さん:
どちらかというと、新しいものよりも、味のある古いものが好きなので、私たちの好みを知っている知人から、「こういうの、好きでしょ?」と古材を譲ってもらったりして。
──ちなみに、店名の「たね」には、どういった意味が?
志保さん:
夫の革細工の店名「革工房 種」が先にあったんです。革って使う人によってどんどん味が出てくるんですよね。「僕が種(革細工)を作るので、使ってくれるみなさんで育ててください」という意味をこめて「革工房 種」と名付けました。あとからカフェを始めたので、同じ「たね」をとって「たねcafe」にしました。
旬の素材に合わせて変わるランチメニュー
──ときどきランチにお邪魔しますが、何を食べてもおいしくて。そして、来るたびにメニューが変化するのも新鮮ですね!
志保さん:
信濃町の素晴らしい野菜を使いたいという思いがまずあって、近所の有機農家さんから仕入れる野菜に合わせてメニューを変えてます。季節を感じられるように、旬の素材を使った料理をお客様に提供することが、私は好きなんです(笑)。マフィンも季節のフルーツを使うようにしています。
──お料理を盛る器も素敵ですね。
志保さん:
食器は長野養護学校の生徒さんに作ってもらっています。たまたま長野養護学校の生徒さんが作った食器をイベントで見て、見た瞬間に「めっちゃ好きだわ!」と感じて。「私のお店のお皿を作ってもらえませんか?」とお願いしたら「ぜひやらせてください」と言ってくださって、それ以来、お願いしています。
古いものが好きなのと同じように、手作りのものが好きなんですよね。その生徒さんの好みや気分で、大きさや形がぜんぜん違うんです。
──手作りの良さですね。
志保さん:
お店で出す料理やパンはもちろん、使っているソースやクリーム、ドレッシング、マヨネーズもみんな手作りです。丁寧に作ったもの、手間をかけた分だけ、たっぷりと作り手の心がこもっているものが好きなんです。
家族と一緒に笑っていられることが何よりも大切
──オープンされてから約8年。その間、変わらずに続けてきたことはありますか?
志保さん:
「信濃町の素材を使う。地産地消を基本にすること」と「手間をかけること」は変わっていないですね。
──逆に、続けていく中で変わってきたことはありますか?
志保さん:
最初は自分ひとりでのんびりやるつもりだったんですが、実際にやってみると、思っていた以上に、ひとりで営業するのは大変でした。それでスタッフを雇うことに。今は優秀なスタッフに助けられています。
──たねcafeさんの営業時間は平日のランチタイムのみで、冬の間はお休みというスタイルですね。
志保さん:
家族と一緒にいる時間を最優先にしたいという思いがあるんです。子どもが学校から帰ってきたときには「おかえり」と家で迎えてあげたい。一番手間ひまをかけたいのは家族のことなので、お店の営業は平日のランチタイムだけにしています。
冬季の営業をやめたのは、農家さんが冬の間はお休みだから。新鮮な野菜を農家さんから仕入れて、「この野菜でこの料理を作りたい!」とウキウキしながらメニューを考えるのがすごく楽しいんですね。農家さんと「こうやって食べたら、おいしかったよ」とか、コミュニケーションをとるのも楽しいですし。
それが冬になると、野菜を買えるのがスーパーになるので、どうしても気分が上がらなくて……。義務感でやっても楽しくないなと。それならいっそのこと、冬の間はしっかりお休みして充電することに決めました。
──志保さんが楽しみながらやっているからこそ、お客様も「また来たいな」って感じるのでしょうね。
志保さん:
うちのお客様はリピーターの方が多くて、みなさんとっても温かいんです。冬休みの間も「春まで待ってるね」って言ってくださって……みなさん優しいですね。
やっぱり、自分が楽しみながらじゃないと続けていけないって思うんです。そして、心を込めて作っていれば、お客様はわかってくれるし、温かく見守っていてくれるんだなと実感しています。これからもそこを大事にしようと思っています。
お店全体に、ハンドメイドの温かい雰囲気が満ちている「たねcafe⭐︎革工房 種」。家族や支えてくれる人たちを心から大切に思うからこその温かさが、オープンから変わらない人気の秘密なのかもしれません。
お店作りから営業スタイルまで、全てが手作り。今もなお進化していく「たねcafe⭐︎革工房 種」がこれからも楽しみです。
たねcafe⭐︎革工房 種
住所:長野県上水内郡信濃町穂波1972-4 営業時間:11:00-15:30(ラストオーダー15:00) Instagram:@tane0224 Facebook:たねcafe⭐︎革工房 種 最新の情報や営業日については、InstagramやFacebookでご確認ください。 |