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「人と人が気軽に繋がれる場所を」信濃町100人BBQ実行委員・飯田まりかさん(めろぽん)インタビュー

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「人と人が気軽に繋がれる場所を」信濃町100人BBQ実行委員・飯田まりかさん(めろぽん)インタビュー

「信濃町で交流100人BBQ」が2025年10月13日に開催される。昨年に続き2回目となる本イベントは、信濃町の元気づくり交付金事業にも採択されている注目の取り組みだ。町内外から多くの人が集まり、バーベキューを囲みながら交流を深める場として期待を集めている。今回のイベントでは300人の参加者を目指すという。

信濃町100人BBQは10人以上の実行委員により企画・運営されているが、今回は立ち上げからの実行委員のひとりである飯田まりかさん(通称:めろぽん)に、イベントの魅力や立ち上げの経緯、そして自身の移住ストーリーについて伺った。

「全員が主役になれる場所を」イベント誕生の背景

信濃町100人BBQは、「その場にいる全員が主役となるようなイベント」を目指して誕生した。実行委員の飯田まりかさんは、信濃町を含め世の中にはすでに様々なイベントがあるものの、運営側と参加者、演者と観客のように立場が分かれていることが多いことに気づいたという。

「もっと誰でも繋がりやすい場があるといいなと考えていました」と飯田さんは語る。移住者である彼女が、地域に新しい形の交流の場を作ろうとした原点だ。

「バーベキューって説明がいらなくて、誰にでもわかりやすいですよね。炭を足したり、肉をひっくり返したり、自然に会話が生まれるのがバーベキューの良さなので、交流のイベントにぴったりだなと思いつきました」

100人という規模については、「特に数にこだわったわけではないんですが、少人数だと家庭でやる規模と変わらないので。『100人バーベキュー』って聞くとキャッチーで楽しそうだし、イベントとしても成り立つと思ったんです」と飯田さんは説明する。

「今回は参加者300人を1つの目標としていますが、今後は参加人数を増やすというよりも、信濃町の各所で100人位の規模で地域活性化を視野にして毎年開催していきたいという想いがあります。なので、イベント名は『信濃町で交流100人バーベキュー』で今後も変わらず行っていきます」

昨年の反響と実りある交流

昨年の第1回目は、やすらぎの森オートキャンプ場を会場として117人が集まった。「参加者には好評でしたし、町内の人にイベントの名前を知ってもらえて、認知が広がった感触もありました。『週刊長野』の1面に載せてもらったことで町外からの反響も大きかったです」と飯田さんは振り返る。

昨年のイベントでは参加者が町内と町外で半々程度だったという。全く知らない人同士がバーベキューを通じて交流する様子は、飯田さんの思い描いたビジョンが実現した瞬間だった。

「イベント内では、バーベキュー以外にもゲームを取り入れて参加者同士の親睦を深める工夫をしています。各ゲームには景品もつけるので、皆さんけっこう本気になってゲームを楽しんでおられました。景品は町内から協賛品としてご提供いただいたものです」

昨年は飯田さんは0歳の息子さんを抱っこ紐に入れながら運営をしていた。「子連れで実行委員として頑張っている姿を見て感動した」と言ってくれた参加者もいたそうだ。

お子さんを連れて受付をする飯田さん(写真右)

また、このイベントの最も印象的な成果の一つが、参加者から移動スーパー「とくし丸」の後継者が見つかったことだという。

「協賛品を出してくださった事業者のひとつでもある『移動スーパーとくし丸』の前任の安藤さん(https://shinanomachi-iju.jp/5402/)が、自分の後を継いでくれる人を探されていて、相談を受けていました。

イベント当日に参加者と話をしていたら、ある方が田舎移住したいと言っていたので、移住後の仕事の話題の中でとくし丸のことを軽い感じで紹介してみたら興味があると言ってくれて。結局その方はご家族で信濃町に移住して、本当にとくし丸を引き継いでくださったんです」

飯田さんは目を輝かせながら続ける。「たくさんの方が集まった結果として、このようなマッチングが生まれたというのは実行委員として本当に感激しました」

昨年の反省を活かして。参加者300人を目指す今年のみどころ

今年のイベントでは、昨年の経験を活かした改善点がいくつかある。特に飯田さんが挙げたのが参加者のグループ分け作業だ。昨年は申込者の要望(「町外から参加するから地元の人と交流したい」「同年代の子どもがいる家族と交流したい」など)に応じたグループ分けを人力で行い、大変な労力を要したという。

参加者はバーベキュー台ひとつにつき10人程度のグループに分けられる

「今年はそのグループの振り分けにAIを導入したので、すごく効率化されて要望を叶えやすくなったと思います。初めて会う人とバーベキューってドキドキすると思うので、要望を聞くことで参加のハードルを少しでも下げて、新しい人との出会いを楽しみにしてもらえたらいいなと期待しています」

また、未就学児専用スペースを用意して小さなお子さん連れでもより楽しめるよう配慮したという。大型エアー遊具が敷地内に設置される他、会場である「フィッシングランドはなおか」には小中学生向けのトランポリン施設なども充実しており、100人BBQの参加者が貸し切りで楽しむことができる。

フィッシングランドはなおかには遊具もたくさん
もちろん釣り堀で釣りもたのしめる

「昨年の開催中に町外の方から、もっと信濃町の自然を楽しむ時間があれば良かったと言われたので、今年はサブイベントとして会場近くの集落の方に遊歩道を案内していただく『富が原ぐるっとウォーキング 』も開催することにしました」

飯田さんは「町内のいろんな場所で開催して、知るきっかけづくりをしたい」と語る。前回の会場である「やすらぎの森オートキャンプ場」も、聞いたことはあっても行ったことがない町民も多かったという。今回の会場も同様に、訪れるきっかけになることを願っているそうだ。

信濃町への移住ストーリー

飯田さんが信濃町に移住したのは2020年11月。出身は神奈川で、現在の夫である当時のパートナーが田舎に住みたいという想いを持っていたことから、一緒に移住先を探し始めたという。

飯田さん自身は特に田舎にこだわりがあったわけではないそうだ。「スノーボードが趣味なので、雪が降るところであれば田舎に住んでも良い、という程度の考えでした」

北海道は実家から遠すぎるため候補にはならず、できるだけ実家からもアクセスが良いところを探して、群馬、新潟、長野などを巡りながら移住先を探していたという。

「2020年10月に、SNSで繋がっていた当時の信濃町の地域おこし協力隊の方に『北信州方面に移住検討に行く予定です』と連絡してみたら、『今信濃町の移住体験施設にキャンセルが出て空いているので、利用しませんか?』とお返事をいただいたんです。それで信濃町で移住体験をすることにしました。その滞在中に気になる物件の内見を予約したら、私たちの内見の日に売り主さんがその場に来てくれていました。物件自体をすごく気に入ったので、その場で直接売り主さんに条件などを交渉することができて、売り主さんも冬までに手放したいというお考えがあったのか、私たちの話に応じてくださったのですぐに購入を決めました。それが10月半ばだったので、そこから雪が降るまでに引っ越ししないといけない!ということで大急ぎで荷物を運んで、翌月には移住していました(笑)」

信濃町での暮らしで驚いたことは、「こんなにお野菜がもらえるんだってこと(笑)。引っ越しのときにご近所に挨拶に行く度に何かしらお野菜をもらえてびっくりしました」と飯田さんは笑う。

雪が降る場所での暮らしは、大変なこともある一方で想像以上に楽しいそうで、「私が住んでいるところからスキー場まで10分かからないので、ちょっと数時間という感覚で滑りに行けるんです。子どもが産まれてからも、夫婦で子守りを交代しながら少しの時間でも滑りに行っています」

「冬の雪が目当てで移住したけど、夏の暮らしも案外良くて充実しています。田んぼや畑をご近所からお借りして、自分で作物を育てて新鮮な野菜が食べられる日常ってこんなに幸せなんだと実感しています」

地域交流の場づくりへの思い

飯田さんは移住者と地元住民の交流の必要性を強く感じていた。「私自身は移住後ご近所の方をはじめ、夫のつながりなどで地元の人と関わりを作ることができましたが、移住者の中には地元の人と全く交流する機会がないという人もいて、色んな人が関わることができる場があればいいなと思っていました」

飯田さんは移住前はイベント運営の経験はなかったという。「友達を複数人集めて何かするってことは何度かあったけれど、このような規模でというのは考えたこともありませんでした。移住してから都会の友達に来てもらって田植えや稲刈りなどを一緒にすることをイベント的に行っているうちに、もっと大人数でできたら楽しそう、と考えるようになりました」

都会から来た友達と一緒に稲刈り

飯田さんは現在、町の子育てサークル「ぞうさん」の運営も行っているという。ぞうさんはもともと信濃町で子どもを持つお母さん方が有志で立ち上げた、お母さん同士の交流の場。前の世代のお母さんから次の世代のお母さんへと繋がれてきたその運営のバトンを、飯田さんが受け取った。
「こういった交流の場は絶対必要で、途切れさせてはいけないと思いました」

2024年に第一子を出産。子どもを通じた親同士の交流も楽しんでいる

信濃町の魅力を伝える架け橋に

飯田さんがこのイベントを通じて信濃町にもたらしたい変化について尋ねると、「単純にこの町が好きなので、地域活性化したいと思っています。友達でも一度でも信濃町に来てくれた人は『この町いいね』って言ってくれるんです。都会のにぎわいもいいけど、こういう田舎の暮らしもいいよねって。来てくれた人の半分はリピーターになる実感を持っています」と話す。

リピーターから移住を真剣に考える人も生まれているという。「田舎移住を考えてはいるけど『信濃町じゃない』と言っていた友人が、何度も来ているうちにいつの間にか『絶対信濃町に移住する』と言うようになっていて(笑)。いろんな魅力がある町なので、一回二回と訪れるうちにハマる人は多いです」

「実際、私の両親も通っているうちに気に入って、今では別荘を買って月に1回以上のペースで来ています。孫に会いたいというのがメインの目的ではあるけど、自分たちで畑をしたりして田舎生活を楽しんでいます」

今後のイベント展開については「発展させるというよりも、とにかく継続をしていく、というのが主の目的です。町内のいろんな場所で開催して、町を知るきっかけづくりをしていきたいですね」と語った。

飯田さんは信濃町の地域づくりにおいて、特に重要なのは「信用と継続」だと話す。「イベントを続けていくことで認知度が広がって、私自身の信用にも繋がると思っています。はじめましての人でも『100人BBQをやっている人なんだ』と知ってもらえると、町の交付金事業だったり新聞に掲載されたりしているので信頼感がある。町となんの縁もなく移住した身からすると、地元の人から信用・信頼を得られるのはとても大切なことなんです」

一度来てみれば、信濃町の魅力が見えてくる

最後に、イベントに参加を迷っている方や、信濃町に興味を持っている方へのメッセージを聞いた。

「信濃町100人BBQは、お一人でもご家族でも誰でも大歓迎ですので気軽にご参加ください。”バーベキュー同時開催”のギネス記録更新(現在の世界記録は2220人)を目指しているので、その軌跡をぜひ一緒に!」と飯田さんは笑顔で語る。

「私自身、信濃町に来るまでは都会に住んでいて不満はなかったのですが、振り返ると都会ってストレスが多かったのかもしれないと気づきました。空気がきれいとか、水がおいしいとか、そんなシンプルなことが日常をより豊かにしてくれるんだなと感じます。来てみたら気づくことが何かあると思うので、ぜひ一度信濃町に足を運んでみてください」

信濃町で交流100人バーベキュー イベント概要

  • 日時:2025年10月13日(月・祝)
  • 場所:フィッシングランドはなおか(長野県上水内郡信濃町)
  • 参加費:
    ・事前支払い:大人(高校生以上)2,000円、子ども(小・中学生)1,000円、未就学児(食材なし)無料
    ・当日支払い:大人(高校生以上)2,500円、子ども(小・中学生)1,300円、未就学児(食材なし)無料
  • サブイベント:富が原ぐるっとウォーキング(無料)※受付8時30分〜、9時出発

参加申し込みフォーム(10月6日(月)締め切り):https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSd_hq1N7UaropIhzlaqnBNK3OH0x6D3ph5J837OXk5ui7gOSA/viewform

公式LINE:https://lin.ee/ubVBg7B

公式Instagram:https://www.instagram.com/shinano_fureai_taiken/

ありえない編集部

長野県信濃町の移住者支援Webサイト「ありえない、いなかまち。」編集部です。
長野県北部のいなかまち信濃町の暮らしの中にある「ありえない」おもしろさを発信しています。

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