ARTICLE
ありえない信濃町通信

TOP > ありえない信濃町通信 > ゲストハウス「SÁPMI」:黒姫高原に佇む、自然と人が織りなす癒しの空間

ゲストハウス「SÁPMI」:黒姫高原に佇む、自然と人が織りなす癒しの空間

ありえない、仕事

ゲストハウス「SÁPMI」:黒姫高原に佇む、自然と人が織りなす癒しの空間

黒姫高原に新しくオープンしたゲストハウス「SÁPMI(サプミ)」は、自然と人が共に集い、心身をリフレッシュさせる場として、訪れる人々に感動を与えています。標高1,200メートルを超える黒姫高原の澄んだ空気と、四季折々に変化する美しい景色を楽しみながら、まるで別世界にいるかのような感覚に包まれます。

今回はオーナーである片山康與さん、佳耶さん夫妻の思いと努力が結晶となった「SÁPMI」について、詳しくお話を伺ってきました。

今回インタビューした方

オーナーの片山夫妻と黒姫高原との出会い:運命的な発見

「黒姫高原に出会ったのって、ほんまに偶然の出来事やったんですよ」(佳耶さん)

奈良の夏の暑さに耐えかねて、もっと涼しい場所で過ごしたいと考えていたおふたりは、キャンピングカーに乗って北信州の道の駅を巡っていた時に黒姫高原を訪れました。

「えー! 日本にこんないいところがあったんやー! と思いました」と佳耶さんはその時を振り返ります。黒姫高原の豊かな自然、そして人の少なさは、おふたりにとって理想的な場所でした。「奈良の暮らしも好きやったけど、この場所の持つ静けさと広がりに一瞬で心を奪われて」と康與さんも語ります。

その後おふたりは約1年間、月に2回ほどのペースで信濃町に通って物件をリサーチ。空き家バンクで見つけたお家を購入し、黒姫高原での別荘生活をスタートしました。

「最初は老後のゆるい生活を楽しむつもりやったんやけど、ピザ窯作ったり、サウナを作ったり、小屋を建てたりしてたらどんどん楽しくなっちゃって(笑)。ご近所もいい人ばっかりやし、いいとこ見つけたなあって今でもふたりでよく話してます」と、康與さんは目を細めます。

「それで1年も経たないうちに『もうずっとこっち(黒姫)でよくない?』ってなって、奈良の家は引き払って、黒姫の別荘が私たちの本拠地になりました」(佳耶さん)

ゲストハウス「SÁPMI」誕生の背景

そんな暮らしを送って黒姫高原での生活にどんどん魅了されていくにつれ、「この場所を他の人とも共有したい」という思いが芽生え始めました。そんなタイミングで近所のペンションが空き物件になった、という知らせを耳にします。

「黒姫の家を買ってから友達が集まる来てくれる機会がすごく増えて、多いときには8人が泊まりに来ることもありました。私たちの家はバーニーズマウンテンドッグという大型犬を2匹飼っているので、大人数に泊ってもらうには少し手狭と感じ始めていて。二人の間で『もっと快適に集まれる場所があったらいいなあ』って話題がちょこちょこあがっていたんですよね」(佳耶さん)

「そうそう。それで空き物件になるというペンションを見に行ったら、良い感じのサイズ感で。家から歩いて行ける距離やし『買っちゃうか!』って(笑)」(康與さん)

「買っちゃうか!」で買っちゃった物件

おふたりはこの場所を友人だけではなくいろんな人が集まるスペースにしたいと考えるようになりました。ゲストハウスの名前「SÁPMI」は、スカンジナビア半島に住む先住民族サーミ人の暮らしからインスピレーションを受けています。サーミ人は、トナカイを放牧しながら国境を超えて移動する遊牧民で、彼らの生活スタイルは非常にフラットでオープンだそう。

SÁPMIの看板。デザインはクロスカントリースキー選手である宮沢大志さんの奥さん、ちかさんが担当

「いろんな人が自由に、フラットに集まれる場所にしたいという思いから、この名前を選びました」(佳耶さん)

ゲストハウスの設備とこだわり

ゲストハウス「SÁPMI」は、6部屋の客室をはじめ、広々とした共用スペースが特徴です。

設計デザインを担当したのは片山夫婦のご近所仲間であるタナカセコ

一番のこだわりはキッチンとのこと。料理好きのゲストにも満足してもらえるよう、充実した設備が整っています。

「やっぱり信濃町ってお野菜が美味しいから、ぜひ自分で調理して食べてもらいたいなって。キッチンがいい感じやったら料理するぞー! って気になるじゃない?」と佳耶さんは嬉しそうに語ります。「みんなでワイワイ料理して飲み食いして、いい気分のまま寝てもらえたら嬉しいね」と康與さん。

広くて快適なキッチン。調理道具や調味料も一通り揃っています。
広々とした共有スペースも。館内ではWi-Fiが利用可能です。

さらに子ども連れの家族に配慮したキッズルームも完備。小さな子どもがいても安心して過ごせる環境が整っています。佳耶さん自身も、家族連れや子どもたちが笑顔で過ごす姿を見て、大きな喜びを感じていると言います。

「家族で料理をしたり、外で遊んだりと、ここでは家族同士が本当に楽しい時間を過ごしてくれています。いつか信濃町内の保育園とコラボして、子供どもたちが描いた絵の展覧会とかもやってみたいですね」(佳耶さん)

ゲストの感想と「SÁPMI」の未来

SÁPMIに泊まったゲストからは「家族でゆっくり料理を楽しむ時間が持てて、本当に素敵な体験でした」という声が多数寄せられています。また、黒姫高原の自然を楽しむアウトドアアクティビティへのアクセスがいいことから、リピーターも増えています。

「最近ゴルフの前泊で使ってれた人がいて。『ゴルフ場が近いから、8時半までゆっくり過ごせていいわあ』って言ってくれました。9時20分のラウンド開始に余裕で間に合うらしいです」と康與さん。今後も、おふたりはSÁPMIをさらに成長させていく計画を立てています。

「今回ゲストハウスをオープンするにあたって、信濃町商工会の信濃町起業塾※に申し込んで講座を受けたんです。その参加者がみんな面白いことや新しいことをやろうとしている人ばかりで、とてもいい影響を受けました。機会があれば、彼らと一緒に何かできたら楽しそうですね」

※信濃町起業塾

信濃町商工会による起業支援の取り組み。信濃町で新しい事業を起こす起業家の方、または既存の経営の改善・変革となる「第二の創業」を目指している経営者の方、若手経営者及び後継者、幹部育成のために、経営者としての心構え~収益性・資金調達方法~経営計画(ビジネスプラン)作成までを具体的な起業事例等を交えながら、体系的に学ぶ機会を提供し、参加者の起業等に対する包括的な支援を行ないます。

出典:令和6年度信濃町起業塾参加者募集

終わりに

黒姫高原の静寂と雄大さに包まれたゲストハウス「SÁPMI」は、単なる宿泊施設にとどまらず、自然と人との新しい関わり方を提供しています。日常の喧騒を忘れ、心からリラックスできる場所。自然の中で過ごすひとときを、ぜひSÁPMIで体験してみてください。

ゲストハウス「SÁPMI」
住所:長野県上水内郡信濃町野尻3884-721
TEL:026-400-7995
Instagram:@guesthouse_sapmi

町民ライター 観音クリエイション

ヒップホップのトラックメーカー、ライター。音楽を作ったり、写真を撮ったり、文章を書いたりして生きています。2020年8月より長野県信濃町に移住しました。

\こんな記事も読まれてます!/