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地元愛とボランティア精神が支える、無料の黒姫高原ドッグラン

ありえない、田舎

地元愛とボランティア精神が支える、無料の黒姫高原ドッグラン

「ドッグランの中に丘があるのって珍しくて、この変な形が好評なんですよね」

そう語るのは黒姫高原ドッグランを運営する、信州しなの町観光協会の担当者さん。黒姫山の麓に位置するこのドッグランは、愛犬家にとって理想的な遊び場です。広さ約3,000平方メートルの豊かな自然に囲まれたこの環境では、犬たちが自由に駆け回ることができ、また飼い主にとっても交流の場となっています。

黒姫高原ドッグランの丘でくつろぐ愛犬家と犬たち

この黒姫高原ドッグラン、利用料はなんと無料。現在、柵の設置や草刈りといったメンテナンス作業は125人の地元ボランティアの方々の協力で行い、燃料代などの経費は利用者からの寄付でまかなっているそうです。

今回は2016年の開設以来、地元コミュニティだけでなく、遠方からの訪問者や移住者にも愛され続けている理由を、運営団体の信州しなの町観光協会(以下、観光協会)に伺いました。

黒姫高原ドッグラン設立の背景と運営の変遷

――まず、黒姫高原ドッグランの設立について教えていただけますか?

黒姫高原ドッグランは、地元の「黒姫高原ブランド倶楽部」の4人のメンバーによって設立されました。使われていなかった町有地を無償で借りて、無償のドッグランとして利用できるようにすることを町に提案し、活動を開始しました。

当時は資金がないことがネックでしたが、地元の木材業者から杭に使う木材の提供を受けたり、杭を打つ際は近隣の方が重機を使って無償で手伝ってくれたりしたおかげで、費用をかけずにこのドッグランを作ることができました。

――杭を打つのには重機が必要なんですか?

そうなんですよ。最初大きなハンマーを持って打ってみたのですが、人力では全然地面に刺さらない(笑)。見かねた近隣のスキー場支配人が、自分のバックホーを使ってくれて、あっと言う間に終わらせてくれました。そういった試行錯誤と地元の方々のサポートを受けて、このドッグランを完成させることができました。

杭や柵だけでなく、二重になった入り口ゲートも手作り

――現在は黒姫高原ブランド倶楽部ではなく、観光協会が運営を行っているんですよね?

はい。運営にかかる負担や持続可能性の観点から、後に観光協会が運営を引き継ぎました。

設立当時はリソースの面で2つの課題がありました。ひとつは「人」の課題。柵の設置や草刈りなどのメンテナンスを設立メンバー4人で行うのは大きな負担でした。そこで地元ボランティア「お助け隊」を結成。今では125人の隊員の方々がメンテナンスのために力を貸してくれています。皆さんのおかげでドッグランとその周辺の環境は常に綺麗に整えることができています。

月に一度のお助け隊による草刈りの様子。

もうひとつの課題は「資金」でした。草刈りの燃料や古くなった杭の交換には費用がかかります。ただ、このドッグランは皆さんに無償で使ってもらいたい。そこで、2021年に寄付金の支払いシステムを導入しました。ドッグラン内にPayPayのQRコードを設置し、1口500円の寄付が手軽にできるようにしたんです。このシステムのおかげで、無人でも安定した運営が可能な体制を整えることができました。

黒姫高原ドッグランの特徴

――ドッグラン利用者の割合について教えてください。

半分ぐらいは地元の方ですね。残りの半分は観光で来た方や、長野市や妙高市といった車で30分ほどの距離の方々にご利用いただいています。お隣の長野市は犬の散歩がNGな公園が多いらしく、重宝していただいているようです。

――ドッグラン内にはどういった設備がありますか?

まずフリーエリアと、小・中型犬エリアの2つに分かれています。フリーエリアは小型犬から大型犬までどんなワンちゃんでもOK、大型犬を怖がるワンちゃんは小・中型犬エリアで遊んでいますね。

車はドッグランエリア前のロータリーに駐車していただけます。満車のロータリーのスペースがいっぱいの場合は隣の町営の黒姫第2駐車場に停めていただいて大丈夫です。町営駐車場にはトイレもあります。

――黒姫高原ドッグランのここがポイント! というところを聞かせてください。

飼い主の皆さんのマナーが良いことですね。設立から8年を超えますが、これまで忘れ物(=犬の糞)を踏んだことがないんです。忘れ物って本来絶対あるはずのもので、それを踏んだことがないということは、きっと気づいた他の飼い主の方や、ボランティアの方が処理してくれているんだと思います。こういった利用者は私たちにとって宝であり、大きな自慢ですね。

――撮影時、飼い主さん同士で楽しそうにコミュニケーションされているのが印象的でした。移住者の方も多く利用されているみたいですね。

そうですね。ただの遊び場というだけでなく、飼い主さん同士で新しいつながりを作ったり、地域との交流を深めるための場所としても機能しているように思います。特に移住者にとって、新しい環境に馴染むのは大変なことですが、このドッグランはそんな彼らにとっても大きな助けとなっているようです。

「どちらから来られたんですか?」「お宅のワンちゃんは何歳ですか?」といった話題から始まって、徐々に地元の情報交換や趣味の話、さらには地域のイベントの紹介など、様々な交流が生まれています。移住者にとっては地元の方々や先輩移住者と知り合う絶好の機会。新しい友人を作る場にもなっているみたいですね。

――最後に、これから利用する方に向けてメッセージをお願いします。

黒姫高原ドッグランから徒歩圏内には愛犬と一緒にテラス席で食事ができるレストランやお蕎麦屋さんもあって、ワンちゃんとお出かけするのに最高なスポットだと思います。信濃町への観光の際はぜひ立ち寄ってみてください。

黒姫高原ドッグラン

Google Map:https://maps.app.goo.gl/oHmssap5u34sNg8Q6
利用可能時間:8:00〜17:00(雨天でも利用可)
利用可能期間:4月〜11月(雪どけから積雪まで)
利用料:無料

町民ライター 観音クリエイション

ヒップホップのトラックメーカー、ライター。音楽を作ったり、写真を撮ったり、文章を書いたりして生きています。2020年8月より長野県信濃町に移住しました。

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