ありえない、暮らし
【信濃町グルメ】だしの旨味と素材の味を生かした和食が楽しめる京オーベルジュ「ごはんのお宿 ほっこり、」
こんにちは。長野県の北端に位置する信濃町に2年前に越してきましたSakiと申します。私自身も宿を経営するために兵庫県から移住してきましたが、今回は京都から移住され、和食のオーベルジュ「ごはんのお宿 ほっこり、」を経営されている上西さんご夫妻にお話を伺ってきました。
今回のインタビューは上西さんご夫婦
上西 克幸さん 絵理子さん 京都府出身。夫婦で2015年に信濃町へ移住。2016年に「ごはんのお宿 ほっこり、」をオープン。お二人とも自然好き。アウトドア派な克幸さんと、庭の手入れが得意な絵理子さん。 |
京都から信濃町へ。自然豊かな環境を求めて
──克幸さんは、こちらにいらっしゃる前は、京都で飲食店をされていたと伺いました。
克幸さん:
京都御所の近くで割烹料理屋を20年やってました。
──信濃町へ移住されようと思ったのは、どうしてだったんですか?
絵理子さん:
2016年にこの宿を始めて6年ほどになりますが、その1年前に主人が食道がんになりまして。こちらには知り合いもいませんでしたが、手術や治療をしたので少し療養したいという気持ちもあって、自然のある環境に移りたかったんです。
克幸さん:
僕は20代のころから自然豊かなところで宿をやりたいという夢があって、病気を機に実行に移すことにしました。
──信濃町でセカンドライフをスタートされたんですね。京都と信濃町はかなり違うと思うのですが、6年ほど暮らしてみていかがですか?
克幸さん:
来てみると意外に京都とつながりがあって。京都から移住された方が結構いたり、京都の方がこちらに別荘を持っていたりと、縁があるんやなぁと。
絵理子さん:
お客様も関西の方が多くて。信濃町や長野のお客様も、おだしの利いたお食事がお口に合うようで、常連さんになってくださいますね。
──信濃町で、割烹料理が食べられるお店は珍しいですね。私も関西出身なので、おだしが利いたお料理がおいしいと感じます。
絵理子さん:
昆布や鰹でとったおだしの風味を生かすのは関西ならではですね。それに、関西は軟水系なのでとくに昆布のおだしが出やすいんです。私は横浜出身ですが、関東では水が硬いので昆布だしを時間をかけてとります。
──そんな違いがあるんですね!
ごはんのお宿で提供される食事とは
──こちらは京オーベルジュ(オーベルジュとは、フランス語で、田舎にある料理自慢のホテル、宿泊施設のついたレストランのこと)ということで、お食事に特徴のあるお宿だと思いますが、お料理について伺えますか?
克幸さん:
関東から来られる方には季節の魚や川魚を各地から取り寄せ、また信濃町の食材を提供します。関西の方には長野の食材や日本海の海鮮を出します。お客様がどこから来られるかによって料理を変えています。好き嫌いやアレルギーは予約の時点で必ず聞いていますし、リクエストもあらかじめ伺って提供しています。
絵理子さん:
鱧(はも)とか、ふぐとか、すっぽんとか、割烹料理で人気のあるメニューを気に入ってくださって、「京都まで行かなくても、ここで食べられる」とリピートしてくださっている常連さんもいらっしゃいます。
──長野県は海なし県ですが、海の食材、魚介類の調達は大変ではないですか?
克幸さん:
お隣の新潟県や富山県は日本海に面しているので、(新潟県)佐渡から富山にかけての海沿いのエリアから新鮮な食材を仕入れています。あとは長野県の山菜やキノコ、信州牛、信州サーモンなども使います。こっちにきて1年、2年は新たに仕入れ先を探すのが大変でしたが、時間を見つけてあちこち食材探しに足を運びました。
克幸さん:
都会にはおいしいお店がたくさんあるので、その中で独自の存在感や価値観を提供していくのは大変なことです。ここ信濃町は手つかずの自然が豊かな場所です。信濃町ならではの食材を使った料理も出せますし、食事だけでなく、ゆっくりとお風呂や信濃町の風景を楽しんでいただくことができるので、そこに付加価値を感じていただけるんじゃないかと思います。
二人でよく話し合うことがうまくやっていく秘訣
──奥様は以前から接客業をされていたんですか?
絵理子さん:
私は呉服の仕事を30年近くやっておりましたので、幅広い年代の方に接客をしてきました。主人が病気をしたことをきっかけに、サポート役に回ろうと決めました。
──ご夫婦で一緒に仕事をされているわけですが、うまくやっていく秘訣などはありますか?
絵理子さん:
こちらに引っ越してきてお宿をはじめて、最初は慣れないことばかりで大変でした。何か気づいたことがあると話し合っています。二人でやっていくには話し合いが必要だと思います。いろいろなことを乗り越えてきました。今思うと、大変なこともたくさんありましたが、一人ひとりのお客様を丁寧に接客できたことが何よりの宝物です。
克幸さん:
「よくここまでやってきたよな」って、夫婦でよく話しています。信濃町に来ることは、今思えば、必然だったんだなあと思います。
移住の決め手となったのは
──こちらの物件を見つけるまでは、いろいろ探されたんですか?
克幸さん:
なかなかいい物件がなくて半分あきらめてたら、たまたまここを見つけて。見にきてすぐに「いいなあ」と直感的に思いました。
絵理子さん:
物件探しってご縁だと思います。主人がこのお家を見てピピッときたんです。そして、お水を飲んだら美味しくて、ここにしようと、その日のうちに主人が決めました。「こんなに簡単に決めていいの?」って自分でも思いましたけど(笑)。
──信濃町は雪が多いということも知らずに、ですか?
克幸さん:
そうです、なんとかなるやろって! 田舎といっても、信濃町は便利な田舎だと思いますよ。高速道路のインターも近いし、長野市へも車で30分で行けますし、海も車で行けば近いですし。
──信濃町のどんなところに惹かれたんですか?
克幸さん:
この家を見にきた日は雨が降っていて、6月なのにすごく寒かったんですが、次の日は雲一つない晴天で、野尻湖を見に行ったら、その景色がきれいで。妙高山に残雪が残っていて、ここはスイスみたいな場所だなと、すっかり気に入りました。道の駅のソフトクリームもとても美味しかったですし(笑)。
──ところで、お庭にはヤギがいるんですね!
克幸さん:
前からヤギを飼いたいなと漠然と思っていたんですが、たまたまヤギを預かる機会があって。試しに預かったら愛着がわいちゃって、そのまま飼うことになりました。
──お料理は和食ですが、オーベルジュということでお宿の内装は洋風なんですね。
克幸さん:
建物が洋風なので、内装も思い切ってリフォームしました。
絵理子さん:
内装は女性にくつろいでいただくために、女性目線を第一に考えて、すべて私がこだわってデザインやカラーを選びました。
地元との付き合いも大切に
──お宿以外にも、調理アドバイザーをされていたと伺いました。
克幸さん:
移住して最初の1年ほど、やっていました。
絵理子さん:
主人が起業塾に参加していましたので、そのつながりでやってみないかと声をかけていただいて。信濃町の道の駅「しなの」の食堂メニューのアドバイスなどをしていました。それ以降も、信越病院の人間ドックのお弁当や、冠婚葬祭のお食事など、できる範囲で地元のお仕事を受けようと心がけています。
「起業塾(起業等人材育成支援事業)」とは
信濃町で新しい事業を起こす起業家の方、または既存の経営の改善・変革となる「第二の創業」を目指している経営者の方、若手経営者及び後継者、幹部育成のために、経営者としての心構え~収益性・資金調達方法~経営計画(ビジネスプラン)作成までを具体的な起業事例等を交えながら、体系的に学ぶ機会を提供し、参加者の起業等に対する包括的な支援を行います。
1日1組、満足して帰っていただく
──これからの展望を教えてください。
絵理子さん:
常連のお客様にいつでも気兼ねなく来ていただけるような場所になればと。親戚の家に遊びに来たような気持ちでくつろいでいただきたいと思っています。また、主人の健康管理も私の大切なシゴトの一つだと思っています。
克幸さん:
1日1組、満足して帰っていただく。同じことをしていたらあかん、進化していかなあかんと思うんです。どうしたらお客様にもっと満足していただけるか、まだ伸びしろはあると思うんですよね。今までと同じじゃなく、人と同じでもなく。この先まだまだしていきたいこともありますし、自分でまだ納得がいっていないので、しばらく頑張らなと思います。あと20年は!
ご夫婦で仲よく
京都と長野を繋ぎ、お互いに支え合いながらお仕事を楽しんでいらっしゃる上西さんご夫婦。いつでも前向きな姿勢が素敵なお二人、これからもいろんなことにチャレンジしていただきたいです。
ごはんのお宿 ほっこり、
住所:長野県上水内郡信濃町野尻3884-39 Facebook:ごはんのお宿 ほっこり、 宿泊は、1泊2食付き。1日1組限定。 ランチは、ランチコース 3,900円(税込) ディナーは、ディナーコース 5,400円(税込)〜2名より要予約。 詳細はFacebookをご覧いただき、ご予約は電話にて。 |