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ありえない信濃町通信

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長野県信濃町で国産ハチミツ養蜂場を起業した「美谷島養蜂」の美谷島 豪さんにインタビュー

ありえない、仕事

長野県信濃町で国産ハチミツ養蜂場を起業した「美谷島養蜂」の美谷島 豪さんにインタビュー

こんにちは。田舎冒険ライターの飯田どなぽんです。長野県信濃町に2020年秋に移住して、まもなく1年が経とうとしています。現在は東京と信濃町などの地域を繋ぐことに新たに取り組んでいます。

今回は、信濃町を中心として飯綱町、戸隠地域などで国産ハチミツの養蜂業を営む美谷島豪さんにインタビュー。美谷島さんが信濃町に移住、養蜂場を起業し、どんな生活をされているのかについて、実際の養蜂場とご自宅兼事務所に伺ってお話を聞いてきました。

養蜂家になって地方へ移り住むというのは、なかなか想像がつきにくいと思いますが、美谷島さんがどういう気持ちで現在のお仕事と生活に辿り着いたのか、この記事を読んでいただくことで、起業への志と田舎町のよさがわかると思います。それでは、現在進行系のリアル体験談をお届けいたします。

今回インタビューした方

美谷島 豪(びやじま ごう)
1988年、長野市生まれ。幼少期からスノーボードを始め、国立長野工業高等専門学校 環境都市工学科在学中、スノーボードをするため訪れたニュージーランドでハチミツに出会い感動。長野市内で冬以外の8シーズン(約8年間)養蜂場での下積みを経て、養蜂場を譲り受け2020年に起業。夏は養蜂、冬はスノーボードという自分の夢を確立するために奮闘中。

養蜂場を起業するまでの道のり

ミツバチの世話

飯田どなぽん

信濃町に移住したきっかけを教えてください。

美谷島さん

いつか養蜂場をやりたいなあと思っていたところ、飯綱町で化学物質を使わないオーガニック養蜂をしているスペイン人からファーム(蜂場)を譲り受けることになったことが、きっかけです。そして北信州のエリアでハチミツ工場として使える場所を探していたところ、信濃町役場の方が親切に物件を探すサポートをしてくれたことで、移住することができました。

もともと長野市に住んでいて、冬以外のシーズンは地元の養蜂園の仕事に就いており、いつかは独り立ちしたいという思いがありました。一時は養蜂から離れ、スノーボードをしながら花火師や大工など他の仕事をしていたこともあったんですが、運よく飯綱町のファームを譲り受けることになり、一からブランドを立ち上げることになりました。

信濃町は、飯綱町や戸隠など北信州で養蜂をするための事務所兼住まいとして、とても適した場所でした。

養蜂場での美谷島さん

飯田どなぽん

なぜ無農薬ハチミツという選択をしたんですか?

美谷島さん

自分の子どもに安心して食べさせられるハチミツを作りたかったからです。

最初はミツバチの育成を無農薬でやる方法を知りませんでした。日本の老舗の養蜂園での経験しかない私は、海外で実際にオーガニック養蜂を実践する方法を教わり、進んだ取り組みに触れ、胸が踊りました。野菜や果物と同じく、残留農薬の人間への影響は計りしれないものだと思い、「食の安心・安全とは何なのか」を深く考えるきっかけにもなりました。

赤とんぼやバッタ、田んぼの昆虫類をめっきり見なくなった今、「農薬は環境や人間によくないんだよ!」と伝えることは、養蜂家の役割のひとつだと思っています。養蜂場の周囲2km以内で農薬を使っていないことや、近くにゴミ焼却場がないことなどを確認し、残留農薬に汚染されていない山の中で養蜂場を営んでいます。

今は、「自分の子どもにも自信を持って食べさせてやれるハチミツ」をコンセプトに商品作りをしており、「こんなに美味しいハチミツがありますよ」というのを世の中の人に届けたいと思っています。

ニュージーランドでのハチミツとの出会い

信濃町と飯綱町の堺にある養蜂場の近く

飯田どなぽん

そもそも、美谷島さんと養蜂・ハチミツとの出会いは?

美谷島さん

初めはまず、非加熱ハチミツの美味しさに魅了されました。高専の休学中にスノーボードで訪れたニュージーランドで、有名な「マヌカハニー」「クローバーハニー」などと出会いました。ニュージーランドでは、普通のスーパーに美味しいハチミツが日本よりたくさん並んでいます。そこで「ハチミツ」の美味しさに出会ったのがスタートです。

養蜂場からの眺め

美谷島さん

日本に戻ると地元の先輩がたまたま養蜂場で仕事をしていて、高専卒業を機に長野市の養蜂場で働くようになりました。そこで、国産ハチミツの美味しさとミツバチの社会性のある生き方にも魅了されました。

養蜂場の仕事は冬場はやることが少なくなるため、夏場は仕事に励み、お金を貯めておいて冬場はスノーボードをするという生活を8シーズン(約8年)続けていました。ここで、養蜂業という仕事の基礎をしっかり学んだことが自身の養蜂場経営に繋がりました。

春夏秋冬の生活スタイルは?

美谷島さんと養蜂の1日

飯田どなぽん

年間の生活スケジュールを教えてください。

美谷島さん

春から夏、そして秋にかけては養蜂業の経営者として仕事をして、冬場はスノーボードをしながらECサイトやイベント出店で、自分が作ったハチミツを全国の方に届けるという生活をしています。

数万匹のミツバチ

美谷島さん

冬が明けて春になると、長野市から飯綱町、信濃町、戸隠の国立公園へとミツバチを移動させる時期となります。春に長野市内で桜やリンゴ畑の花が咲いた頃から、標高、気温を利用してハチたちを徐々に信濃町などのほうへ連れてきます。信濃町でアカシアの花が咲く6月頃から秋の終わりまで、全てのミツバチを北信州エリアで管理し、越冬は長野市内で行います。花の咲き具合を見計らいながら、ミツバチとともに花を追っている感じです。

ミツバチのお世話
ピンセットでダニをとる

美谷島さん

春と秋の花が咲く時期がハチミツを収穫する季節なので、朝は日が昇ったら仕事をスタートし、女王蜂の確認、病気や健康状態のチェック、ミツバチのダニをピンセットで取ったりなどの世話をしています。クマやオオスズメバチ被害の対策、電気柵まわりの草刈りも大切です。冬は比較的暖かい長野市内にハチを下ろして春まで待機させるので、スノーボードのライダーとして撮影の仕事をしたり、大会に出場したりしています。

スノーボード美谷島さん
雪山で雪のスプレーを上げながら滑る美谷島さん。長野のスノーボードブランド「Green.Lab」の広告ポスター(2020年) 画像提供:Green.Lab 撮影:Gaku Harada

地方移住に何を求めるかをはっきりさせることが成功の鍵

養蜂場の周りの状況を確認中

飯田どなぽん

実際にこの仕事と生活をしてみて、いかがですか?

美谷島さん

信濃町周辺の空気は美味しく、のびのび生活ができ、無農薬ハチミツをお客さんに届けられる環境が好きで、やりがいを感じています。

ラベンダーと養蜂

美谷島さん

自然相手の仕事なので、気象条件などに左右される日々です。天候の急激な変化はミツバチの生死に関わることなので、天候のチェックは欠かせませんし、土砂崩れ、台風の心配や、オオスズメバチとの戦い、クマが来て養蜂箱を荒らされたりなど、正直言って心配に事欠きません。

かわいいミツバチ
写真提供:美谷島養蜂

美谷島さん

反対に、協力し合いながら健気に働くミツバチの社会性を垣間見て面白いと思う私は、本当にミツバチが好きなんだなと思います。そして何といってもハチミツが採れたときが一番うれしい瞬間です。このハチミツをより多くの人に食べてもらい喜んでもらうために、ミツバチの世話を心を込めてしています。私にとって今の仕事と生活は夢見てきたものですが、昨年起業したばかりでさまざまなことに四苦八苦する毎日です。

将来的には、冬のスキーリゾート勤務が終わると地元へ帰ってしまうスノーボーダーを雇用したり、スキーリゾートの夏の事業として養蜂を進めるなどしていきたいと考えています。

事務所で作業中の美谷島さん
写真提供:美谷島養蜂

飯田どなぽん

これから地方移住を検討されている方へ向けてメッセージをお願いします。

美谷島さん

「自分の価値観が何を重要視しているのか?」をハッキリさせることが大事だと思います。「のどかなところで暮らしたい」「都会よりもスローな時間で暮らしたい」「自然に近いところで暮らしたい」という人が地方移住を検討しているかと思います。

実際に田舎に住んでみたら、想像通りの魅力を体験できることもあれば、反対に想像とは全然違ったところが見えてくることもあると思うので、田舎移住を長年あきらめきれない方は、一度思い切って移住してみることをオススメします。

信濃町役場では、家も仕事も紹介してもらえたり、体験移住施設などもありますので、気軽に問い合わせてみると良いと思います。

僕自身は、水も空気も野菜も美味しくて、山の風景が美しく、星空も綺麗な信濃町の生活がとても気に入っています。有難いことに、ご近所の方にもよくお裾分けを頂いたり、とても良くしてもらっています。

基本的に、定年退職をした世代ではなく働き盛りの20代、30代、40代の年代の人であれば、移住は仕事とセットなので、私のように田舎でできる仕事を作るか、もしくは田舎で仕事を見つけるか、どちらかになると思います。「仕事と家」、これをうまく見つけ出して皆さんも地方移住できることを願っています。

養蜂場の周りの草花の確認

まとめ

ラベンダーと養蜂場
写真提供:美谷島養蜂

今回は信濃町で起業し、養蜂場を営み自然と向き合って生活している美谷島さんにインタビューしました。春から秋にかけて、天然のミツバチからハチミツやビーポーレン(ミツバチが花の蜜を集める際に、蜜と花粉を混ぜ固めたもの)を採取し、それを全国に届ける作業をしながら自然と対話し、冬は好きなスノーボードを思いっきりする生活が印象的でした。

移住する目的は人それぞれですが、若くして移住する際には、「仕事」と「家」、このふたつが切っても切り離せません。そしてせっかく地方移住するのであれば、都会と違った自分らしい生活を求めている方がほとんどでしょう。私もそのひとりです。

今回のインタビューを通して、少しでも多くの方が地方移住のヒントを見つけてくださることを、そして運がよければ長野県信濃町でお会いし、次のインタビュー候補者になることを期待します。

「ありえない、いなかまち」信濃町でお会いしましょう!

おいしいBIYAJIMA無農薬はちみつ
写真提供:美谷島養蜂

美谷島養蜂

●Webサイト https://biyajima-beefarm.com/
 美谷島さんの日々を綴ったブログや、ハチミツを使ったレシピなども紹介。

●通販サイト https://biyajimabee.thebase.in/  
各種商品は、こちらの通販サイトから購入可能です。

●Instagram https://www.instagram.com/biyajima_bee_farm/
●Facebook https://www.facebook.com/biyajimabeefarm
美谷島養蜂のハチミツは、長野県信濃町のふるさと納税の返礼品にもなっています。くわしくは、各種ふるさと納税サイトをご覧ください。

▼楽天ふるさと納税 長野県信濃町のページ
https://www.rakuten.co.jp/f205834-shinano/
▼ふるさとパレット 長野県信濃町のページ
https://tokyu-furusato.jp/city/detail/205834
▼ふるさとチョイス 長野県信濃町のページ
https://www.furusato-tax.jp/city/product/20583/0
美谷島養蜂のはちみつ
写真提供:美谷島養蜂


田舎冒険ライター 飯田どなぽん

2020年11月後半に信濃町へ移住。大企業2社、中小企業1社を経て信濃町でスーパーフリーランスへ。小さい頃から自然、雪、アウトドアが大好きで、自然あふれる場所で暮らすことを夢見て信濃町に古民家を購入し移住してきました。「ネット環境さえあれば仕事ができる時代を山奥の田舎集落でどう生き抜くか?」をテーマに、この「ありえない、いなかまち。」で人脈0から【仲間】と【仕事】と【暮らし】を作り上げていく生き様を、発信していきます。

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