ありえない、仕事
実際にインタビューしてみよう!【信濃町ライター養成講座05レポート】
LIG野尻湖オフィスでWebディレクターをしています、ゆっちです!
信濃町はもうすっかり雪景色です!
現在、毎月第2土曜日に野尻湖オフィスで開催されている「信濃町ライター養成講座」。今回は、12月14日に行われた第5回の様子をレポートしていきます。
今回のテーマは「実際にインタビューしてみよう」です。講座も後半になり、実践的な内容になってきました!
まず講義で、インタビューの手法を学ぶ
この講座は、信濃町への移住定住を促進するこのWebサイト「ありえない、いなかまち。」で活躍するライターを育てるプロジェクト。
今回は、実際に信濃町に移住して精力的に活動をされている方々をお招きし、実際に受講生たちがインタビューしていく、という内容でした。
インタビューは事前準備が9割?
インタビューと聞くと、相手に質問をし、録音・メモを取って……というイメージですよね。
本番は撮影も入れて1〜2時間程度ですが、事前に準備しなくてはいけないことが沢山あるようです。
準備の一例は下記のとおり。
- 企画書を元に、趣旨をインタビュー関係者に伝える
- 記事の構成案を練る
- 聞くべき質問を大量に出し、そのあとに絞り込む
- 取材場所を選定する
- 録音・撮影機材を準備する
1つのインタビューでもたくさんの時間をかけているんだなーと驚きました。段取り八分とはよく言ったものですね……!
講師の一人、LIGエディターのケイさん曰く、「録音機材は必ず2つ以上、用意しましょう」とのこと。
もう一人の講師きょうこさんは、有名な小説家へのインタビューの終わりかけで、ボイスレコーダーが止まっていることに気づき、気絶しかけたそうです……編集者やライターなら一度は犯す失敗なのだそう。「筋肉は裏切らないけど、機械は裏切りますからね!」とのことでした。
失敗談として盛り上がった会場ですが、現場を想像すると恐ろしいですね(笑)。
「その瞬間、世界で一番、その人に興味を持つ」
「その瞬間、世界で一番、その人に興味を持つ」かっこよくないですか?この言葉。
実際のスライドにも登場したフレーズです。講座の前にその回の資料をみんなでブラッシュアップする時間を設けているのですが、ライター・編集者として活躍するケイさん・きょうこさんが考えるフレーズに、毎回、ドキッとすることがあります。(さすが!)
私自身、そんなお2人を尊敬しているのですが、時間を割いてインタビューを受けてくれる相手への感謝や敬意をもつ、という気持ちが、このフレーズに現れていると思いました。
ちなみに、「インタビュー中にメモはとる?とらない?」という問題が、編集者やライターの人たちではよく話題になるそう。ケイさん、きょうこさんともに「収録内容のメモはあまりとらないが、話を聞いていて新たに思い浮かんだ質問はメモしておく」というのをおすすめしていました。
背景を思い起こさせると、ストーリーにつながる
いざインタビューをしようと思っても、最初は質問内容が思い浮かばなかったりしますよね。
しかし、きょうこさん曰く「いきなり企画の核心となる質問を聞くのもあり」!
今回は、信濃町へ移住した方へのインタビューなので「なぜ信濃町に移住したのか?」といった核心にあたります。
そこから背景を質問します。相手はその当時の環境・仕事・考え方などを遡り、現在の状況から過去にどうしてその考えに至ったのか……と思い起こしてもらうことで、その人が移住を決めた要素が何かがだんだんつかめてくるそうです。
インタビューの手法をひと通り学び、質問タイムへ
質問タイムでいくつか印象に残ったやりとりをお伝えします。
Q.「インタビュー内容を記事にしたとき、相手の意図とズレてしまったことはありますか?」
この問題に関しては、インタビュー時に相手に確認しておくことが大事だそうです。
- 相手が話した内容を自分の言葉で言い直して内容が合っているか、間違っているか確認すること
- 相手の話した内容をまとめる際には、単純化するのではなく理解した上で言葉を紡ぐこと
上記2点が重要、とのこと。
これって考えてみると日常のコミュニケーションと同じかもしれません。
相手の言葉を「要するにこういうことでしょ」と単純化してしまうのって、なかなか危険です。「相手の言葉をまとめる」際にも、相手の話を理解し、そして適切な語彙を使ってまとめて相手に投げかけてみる、という丁寧なプロセスを経ることが大事なんですね。
Q.「質問内容がベタなものしか思い浮かばない。核心的な質問を作るには?」
これに関しては万能な解決策はないそうです。でもケイさんは、取材前に取材相手のことをかなり調べ、インタビュー記事や似たような企画内容の記事をひととおり読んで、新しい切り口をつくることを意識しているのだそう。当たり前にやるべきことを当たり前に、という基本が大事なんですね。
ワークショップでは、実際にインタビューにチャレンジ
後半は受講生どうしでグループを組み、移住者のみなさんにインタビューを行いました。
限られた時間の中で質問・回答を録音、メモを取り、記事のアイキャッチに使うための写真撮影までこなしていただきました!
最初は慣れない雰囲気のなか、自己紹介からポツポツと質問を繰り出していましたが、しだいにみなさんから笑顔や笑い声があふれ、会場が盛り上がっていきました。
(毎回、みなさんの熱意ある質問が上がって、ケイさん・きょうこさんの小話で終わりの時間が長くなってしまいます。運営スタッフの私としては盛り上がりが嬉しいとともに、押していく時間にドキドキではあるのですが……)
文字起こしのやり方を学ぶ
「人間は意外と他人の話を聞いていない」
のだそうです。文字起こしをしてはじめて、相手が言いたかったことや、自分の理解の間違いに気づく、ことも多いのだそう。
記事を書く際には、数百字程度の短い内容であればその場でメモをとってしまうほうがいいけれど、1000文字を超えるような取材のときは、文字起こしをしたほうがいい、とのことでした。
3種類あるよ!文字起こし
- 素起こし(話しの内容をすべて文字に起こす)
- ケバ取り(「えー、」「あのー、」など不要な語句を削る)
- 整文(読みやすく整える、段落に分ける)
慣れないうちは0.8倍速など少し遅めにして、聴きながらタイピングすることから始めるのが良さそうですね。
音声入力ツールを活用するさいも、
- iPhoneの場合は入力している最中の編集が難しい
- Googleドキュメントは句読点を打ってくれない
というように、まだ精度が完全ではないので、整える作業は発生します。
ライターにより取材や文字起こしの方法は差があるようで、ケイさんの場合はアイデアメモをとる際にはiPhoneの音声入力を、インタビュー記事作成のために本格的に文字起こしをするときは自宅の静かな環境でGoogleドキュメントの音声入力を使うそうです。
文字起こしの際に初心者が気をつけるべきポイントは、話者(誰がどの発言をしているか)の表記を必ず行うこと。「あとでやればいいや」と思っていると意外と面倒くさいのと、話者表記のない文字起こしテキストは、あとで何度も読み返す気が失せてしまうのがよくないそうです。そう、「文字起こしを何度も読み返す」が、よい原稿をつくるためのポイントなんだとか。
記事には「驚き」が必要
自身が感じたことや、取材時のメモだけで記事をまとめるのは一見、効率的なように思えます。
しかし、取材中に聞いて理解した内容だけで記事を書いていくと、書いた本人の想定している範囲での話に収まってしまい、原稿に面白みがなくなってしまうのだそう。
文字起こしにしたものを読むことを通じて、取材時に感じ取れなかった「こんなことを話していたんだ」という部分にまず自分が驚き、その驚きを記事にして伝えることで、読者も驚きを感じてくれる、というわけですね。
前項でも触れた、取材相手の方への誠意や理解度にもつながる内容ですね!
今回も「宿題」が課される!
本講座、回を重ねるごとにテーマや学ぶ内容もグレードアップしていくのですが、ライターを育てるための「宿題」が課されたりします。
今回の宿題は、インタビューした内容を原稿にまとめること。
インタビュー内容だけでなく、タイトル、リード文、アイキャッチ(メインになる写真)も考えて、提出していただくことに。
大人の冬休みの宿題……といったところでしょうか。受講生は普段のお仕事をこなしながらなので、大変だと思いますが、どんな内容があがってくるかスタッフ一同楽しみです!
夜はLAMPで忘年会!
講座の後は、LAMP野尻湖で忘年会をおこないました! 毎月、顔を合わせるメンバーですが、交流を深めるのは今回がはじめて。
改めて、自己紹介や最近ハマっていることなどから会話に花が咲きました。講座に関する談義から、普段の生活のことなど、ざっくばらんにお話ができる機会でした!
次回第6回講座のテーマは「インタビューした原稿の講評」です!
次回は2020年1月11日(土)、LIG野尻湖オフィスで14時から開催です。
今回インタビューした原稿の講評を、ケイさん・きょうこさんが行います。
「どうしてもまとめられなかった!お手上げ!そんな状態でもOKですよ〜」と声がけするお2人。まずは提出してみる!が大事、ということですね。
いよいよ終盤に近づく講座ですが、果たしてどれぐらいの原稿が、実際の公開まで漕ぎ着けられるか楽しみです!
それでは、ゆっちでした!