ありえない、暮らし
地域に馴染むのって大変って言いますよね?本当のところどうなんですか
移住の悩みの1つで「地域に馴染めるか」ということがよく挙げられます。
田舎への移住では、地域に馴染むことができず孤立してしまうという話も耳にしたことがある方もいらっしゃるでしょう。
さて、どうしたら移住者は地域に溶け込むことができるのでしょうか。
6年前に移住をされた出浦さんご夫妻と、地域の総代(※)である竹内さんにお話をうかがってみました。
「総代」とは
地区をまとめる代表のこと。
地域住民と移住者をつなぐ役割も担っている。
移住する前の心境
移住する前は、期待と不安で様々な想いが巡る時期です。
出浦さんご夫妻は、どんな心境だったのでしょうか。
大阪の暮らしに少し窮屈さを感じていました
===はじめに、信濃町に移住をしようと思ったきっかけからお聞かせください
(夫)智信さん
長野の山の景色や空の高さ、空気のあまりの違いに惹かれました。
北信五岳が、ドン、ドン、ドンと見える、この景色が好きで、ここに住みたいなと思いました。
(妻)洋子さん
子育ての環境が良いと感じたことです。
大阪では、すごく息苦しくて大変だった・・・。
集合住宅に住んでいたので、子供が騒ぐ音で苦情を言われることが日常茶飯事でした。
(夫)智信さん
団地の1階に住んでいたのに上の階から「うるさい」と苦情が来ていましたからね(笑)
(妻)洋子さん
今は全然心配いらない。
逆に苦情どころか「にぎやかでいい」と町の人たちに言ってもらえるのが嬉しいです。
田舎に馴染めるかが心配でした
===こちらに来る前に、不安はありましたか
(夫)智信さん
移住することに対して不安はありませんでした(笑)
不安とは少し違いますが、仕事は心配でしたね。
こちらに知り合いがいるわけではなかったので、移住して半年くらいは、大阪と信濃町を行き来しながら仕事をしていました。
仕事に関しては、大阪にいてもこちらにいても違う心配が出てくるので、移住に関しての不安とは違うかもしれないですね。
(妻)洋子さん
経済的なことよりも大阪から来た私たちを受け入れてもらえるのかが心配でした。
子供もいるので集落や学校のお母様たちと馴染めるか心配でしたね。
やはり、田舎に馴染むのっていうのは大変なんだろうなと思っていました。
移住してみて苦労したこと
地域の行事はわからないことだらけでした
===住み始めて今まででどんな苦労がありましたか
(夫)智信さん
田舎には、いろんな行事があるんですよね。
その行事1つ1つが、わからないことだらけだったので、こなすのに必死でしたね。
「せきぶしん(堰普請)」って聞いても、想像すらできないですよね(笑)
まったく意味がわからないことだらけなので、聞くしかなかったですね。
竹内さんが、いろいろ教えてくれて助かりました。
===この地区では、移住者を受け入れる際に何か決まりごとがありますか
竹内さん
移住者が来たから特別に何か行うってことはありません。
「みんなで一緒に酒飲んで楽しくやりましょう」って言うくらいですかね(笑)
年間通して行事がいろいろあるので、そこに参加してくれれば、地域の人も受け入れてくれる雰囲気がありますね。
うちの地区は、昔から行事の参加などは強制はしないんです。
行事には、出れるときだけ出てもらったら大丈夫。
地元の人間は、昼間の早くから来て、呑んでしまって本番に使い物にならない人もいるので(笑)
だから「なんで来ねーんだ」とかっていう人はいないですね。
(夫)智信さん
ぜんぜん、無理強しないんですよね。
お酒の席も、帰りやすいから、参加しやすいんですよね(笑)
最初は気を使うこともありましたが、そんな心配はいらなかった。
この地区は「よそ者」っていう距離の取り方をしないので驚きました。
みんな近いんですよね。
移住してよかったこと
子供たちが楽しんでくれていること
===移住して良かったことはありますか
(夫)智信さん
子供たちが、毎日竹内さんの家に遊びに行くんですよね〜。
竹内さん
気づいたら、家に何人も子供がいるんですよね(笑)
日曜日もですよ。
(夫)智信さん
子供たちが楽しそうにやっているのが一番安心できることですね。
夕方、仕事から家に帰ったら子供がいないんですよ。
探してみると、向かいの家でお菓子を食べているんですよね。
これは大阪では考えられないことです。
竹内さん
地域で子供を育てる昔ながらの環境がありますね。
町の行事にも子供に参加してもらうようにしていて、子供たちを呼ぶことでお年寄りも参加してくれるんですよ。
(夫)智信さん
お祭りなんかも、子供たちの席を作ってもらっていますよね。
私が仕事で参加できない時も、子供たちだけでも行けるようになっていて本当に助かっています。
子供に聞くと大阪には帰りたくないと言いますね。
遊びには行きたいと言いますが、帰りたくはないみたいですね。
大阪で子供ながらに窮屈さを感じていたのでしょうね。
地域に馴染むためにすべきこと
田舎と付き合う時間を作ること
===地域に馴染むために何を行いましたか
(夫)智信さん
まずは、毎日の挨拶をすること。
移住したての頃、とにかく誰でもいいから手をあげとけって言われましたね。
すれ違う人みんなに会釈をするとみんなが会釈をし返してくれる、、、
でも誰だかわからない人もいたり(笑)
(妻)洋子さん
こちらが挨拶すると向こうも話しかけてくれるので、コミュニケーションのきっかけになるんですよね。
(夫)智信さん
次に、地区の行事に参加をすること。
行事にでていれば、近所の人や地域の人と話す機会ができます。
可能な限り行事には出たほうがいい。
地域の人は、見ただけでは、その人のことはわかりませんから、なるべくコミュニケーションをとることが大事です。
そのためには、行事に参加をするのが一番です。
(妻)洋子さん
あとは、わからないことは、教えてくださいということも大切。
わからないことを聞いていたら、地域に馴染もうとしているのかなって気持ちが伝わるのかもしれません。
調べるのが下手なので、なんでも構わず聞いちゃうので、引かれてないか心配です(笑)
(夫)智信さん
都会での暮らし、田舎での暮らしって違うんですよね。
田舎に移住しても、都会での暮らしをしちゃう人がいるんですけど。
都会での暮らしは、自分だけの時間で暮らしていけたのですが、
田舎での暮らしは、いろんな地区との付き合いや絡みがあるから、
そういう時間は自分の中で作っていかないといけないんです。
馴染むには、そういう時間をきちんと作っていくのが大事です。
田舎の良さ
人と人との距離が近いこと
===今だからわかる田舎の良さってなんですか
(夫)智信さん
子供の笑顔を見れることが一番嬉しいですね。
365日遊んでいても飽きないみたいで、遊びに一生懸命なんですよ。
都会だと心配が多かったですが、こちらではのびのびと本当に楽しそうで何よりです。
(妻)洋子さん
生活に慣れればこちらのほうがいいよね。
孤独じゃないもん。
つながりもできるし、もちろんその難しさもあるんですけど(笑)
今は、とても安心していられる。
何か困ったら、声さえかければ助けてくれる人がいる。
大阪では手をあげられなかった。誰にもお願いって言えないもん。
ありえない、暮らしが待っています
地域に馴染むには地区の総代さんに相談しよう
移住を予定されている方は、心配も多いかと思いますが、まずは移住する地区の総代さんに挨拶に行ってみましょう!
地区の特徴や、行事の参加の仕方、生活のことなど、いろいろと教えてもらいましょう。
地区の総代さんを訪ねるなら、信濃町役場にご相談ください!