ありえない、暮らし
やっぱり田舎町ってお買い物は不便なの?信濃町民3人で「お買い物座談会」をやってみた〜食料品・日用品編〜
こんにちは。新潟県長岡市でWebデザイナーをしている宮と申します。
私は5年ほど前に大阪から長岡に移住しまして、家は長岡の市街地ではなく山奥にあります。田舎暮らしは自然が豊かなのは楽しいけど、お買い物はやっぱり不便だなぁ……と思ったりもするんです。
「じゃあ、同じいなかまちである信濃町の住民のみなさんは、ふだんどういう買い物をしているんだろう?」ということが気になったので、今回は町民のみなさんにお集まりいただいて、「信濃町のお買い物事情」を聞いてみることにしました!
お買い物座談会の出席者
そこで今回集まっていただいたのは、こちらのみなさんです。
Ayaco*さん 信濃町出身。7年前にご主人・お子さんとともに、大阪から信濃町にUターン。大阪に住んでいたときの劇団のお仕事を生かし、町内で人形劇を行うこともある人形劇作家・イラストレーター。信濃町の商店が集まる、南部の古間エリアに住んでいる。 |
ERIさん 出身の島根県から長野にやってきた。その後、結婚・出産を機にご主人の実家である信濃町に移住。5人の娘さんとおじいちゃんおばあちゃん、総勢9人で同居する大家族のママ。 |
ヒロさん 信濃町在住の会社員。季節に合わせて長野と群馬を行き来する生活をするうち、長野の魅力に引き寄せられて移住を決意。約2年前に信濃町に移住し、会社員として働きながら、休日にはアウトドアや直売所巡りを楽しむ。 |
というわけで信濃町のみなさんに「お買い物」と信濃町ライフについていろいろお話を伺っていこうと思います。まず前編となるこちらは、日用品・食料のお買い物事情を聞いていきます!
宅配サービスだけで日々の食料をまかなうことはできるのか?
──みなさん、今日はお集まりいただきありがとうございます。私は新潟・長岡の山奥に住んでいるんですけど、今回は「信濃町のお買い物事情」をみなさんに教えてもらおうと思います! まずは、食料品・日用品のお買い物はどうされてますか? 宅配サービスなども使ったりしますか?
Ayaco*:
私はコープデリの宅配を使ってます。東隣の中野市から来てくれるんですよ。まとめ買いをするときは町外の大型スーパーにも行きます。もし「今日突然なくなったあれが欲しい!」ということがあれば、町内の「古間(ふるま)」というエリアに、生鮮食料品なら「第一スーパー」、ドラッグストアなら「マツモトキヨシ」、衣料品なら「しまむら」、ホームセンターなら「コメリ」があるので、そこに行きます。
──なるほど、いざというときは古間エリアなんですね。ERIさんは9人家族ということですけど、ご飯の支度がすごく大変じゃないですか?
ERI:
毎日が合宿メシのような感じです(笑)。うちもコープを使っていて、卵や牛乳、パンなどの絶対使うものは定期便で届くようにしています。あとは町外の業務用スーパーで買い溜めをしますね。
──業務用スーパーの話……のちほど詳しく伺いたいと思います! ではヒロさんはいかがですか?
ヒロ:
私も町外の業務用スーパーで買い溜めをして、ちょっとした買い物のときは町内で済ませる、という使い分けですね。
Ayaco*:
まとめ買いが多いから、冷蔵庫が巨大になったりしますよね。野菜室が真ん中にあると使いづらいんですよ。
──3人ともそのパターンなんですね。ちなみにコープの宅配だけで食料品のお買い物を完結させることって可能だったりします?
Ayaco*:
やろうと思えばできるかもしれないですけど、コープって週に1回しか来ないので学校の給食みたいに献立を3食全部考えておかないといけないし、料理に必要な量も正確に把握しないといけないのが難しいですね……。うちは月曜にコープが来るんですけど、そうすると土日には品数がヘロヘロになってしまうんです(笑)。
──それは難しい(笑)。
ERI:
私は去年の緊急事態宣言中に「コープだけでなんとかする」というのを試したことがあるんですけど、やっぱりAyaco*さんの言うとおり宅配が週1なのでやりくりが難しいですね。あとはコープは価格が若干高めなんです。就学前の子どもがいる場合は割引サービスがあったり、おむつとか大きなものを届けてもらえるので助かっています。やっぱり業務用スーパーに行ってまとめ買いしたほうが安いかな、というのはありますね。
町外の大型スーパー利用、どうしてる?
──ちょうどERIさんから「業務用スーパーのほうが安い」「まとめ買いができる」というお話がありました。みなさんは町外だと、どのスーパーに行かれるんでしょうか?
ERI:
正確には業務用スーパーじゃないですけど……信濃町の人は、長野市の少し北のほうにある「ツルヤ徳間店」に行ってることが多い気がします。品揃えも豊富でいいお店ですよ。で、ツルヤに行くならということで、ついでに長野市内で他の買い物をしたりするみたいですね。
──ツルヤって、長野県民からはたまに聞きますけど、長野にしかないんですかね?
Ayaco*:
長野県内にはたくさんありますが、県外だとお隣・群馬の前橋に一店だけあるそうです。長野県民ならみんなツルヤは知っているけど、県外の人はほとんど知らないという(笑)。
──長野に移住するならぜひ知っておくべき情報ですね(笑)。
ERI:
でも……ツルヤを推しておいてなんですが、ウチの場合はツルヤだと足りないのと、そもそも私は信濃町では北のほうの野尻湖近くに住んでいるので、北の上越エリアに車で行くことが多いです。海鮮とかも上越で買ったほうが新鮮だったりしますしね。
──上越エリアは日本海も近いですもんね!
ERI:
そうです。で、上越にある「しみず屋」という業務用スーパーは、野尻湖近辺で飲食店をされている方も買いに来ていたりしますよ。ここはおすすめですね。
──ERIさんはさすがに9人家族だけあって、お買い物スキルがかなり高そう……。
ERI:
あと、うちの買い溜めの究極形は、富山のコストコに行くことですね。
──富山って、富山県の富山ですか!? 遠くないですか?
ERI:
富山県の富山です(笑)。信濃町から行けるコストコって群馬の「前橋倉庫店」と、富山の「射水倉庫店」があって、どっちも距離は同じぐらいなんですけど、意外と富山までって道路もそんなに混んでないので行きやすいんですよ。ただ、週末に買い物のためだけに出かけるのはもったいないので、公園で遊んだりとか家族のレジャーも兼ねて、一日がかりでプチ旅行で行きます。
──なるほど……!
Ayaco*:
私はUターン組なんですけど、大阪からこっちへ越してきたばっかりのときは運転免許も車も持っていなくて、行動範囲も狭かったんです。でも子どもを連れて町内の子育て支援センターに行って他のママと話すと、「そんなところまで!?」ってところまで行っていて、最初は衝撃を受けました(笑)。信濃町で暮らしている人たちはお買い物に行くのにも県内・県外を気にせず、フットワーク軽く行っている感じですね。
──今だとコロナの状況次第でなかなか難しいところはありますが、いろんな場所に足を伸ばしてみるのも楽しいかもしれませんね!
いなかまちならではの「お裾分け」カルチャーで食べ物には困らない!
──食料品の調達で、みなさんが他に工夫されていることって何かありますか?
Ayaco*:
私は農家さんから直接お米を買ってます。あきたこまちで、籾がついていたり玄米だったりするんですけど、30キロで6000〜7000円で買えちゃうんですよ。
──お米って普通、5キロで2000〜3000円ぐらいだから、じゃあ半額以下で買えちゃうんですね! ちなみに「いなかまちあるある」なのかなと思うのですが、お裾分けもあったりしないですか?
Ayaco*:
「家に帰ってきたら玄関に野菜とか果物が置いてある」ということはよくありますね。誰が置いていったのかわからなかったりします(笑)。農家さんが、「傷物で売り物にならないけど自分たちは消費しきれないから」ということで置いていってくださったり、ですね。貰ったものをそのまま貰うのも悪いので、料理に変えてタッパーで持っていくと、タッパーが返ってくるときには違う料理が入っていたり。
──物々交換のようなことは、田舎町だとありますよね。
ERI:
うちもおじいちゃんおばあちゃんがいるっていうのもあるけど、近所の方が「できすぎて捨てちゃうんだけど大根いる?」とか。畑をやっているのは年配の方だけでなく子育て世代の方もいるので、保育園で「きゅうりが余っているんだけど……」という話をされて、家に持ってきてもらう、みたいなこともあったりします。気軽にやりとりをしている感じですね。
ヒロ:
私は古海(ふるみ)という地区に住んでいるのですが、ご近所さんはお米や野菜を作っている方も多く、玄関に置いておいてくれたりしますね。うちも今年畑をやってみて、ジャガイモだとかトマトだとかを植えるといろいろできちゃうので、職場の同僚にあげたり、近所の方にもお配りしています。自分が住んでいるのは古海の中でも離れた集落で、9軒ぐらいしかないのでけっこうつながりが強いです。
──ERIさんとAyaco*さんはもともと信濃町に地縁血縁があって、ご近所とも関係を作りやすかったと思うのですが、ヒロさんはそういったつながりはなかった……ですよね。
ヒロ:
そうですね。だけど、もともと知り合いの家が一軒あって、その方に今の家が空くことを聞いて移住してきたので、まったくないというわけではなかったんですよ。
──引っ越していくときに、ご近所さんへのあいさつ回りはやっぱり重要ですか?
ヒロ:
ご近所さんには全部、ごあいさつに行きました。すごいウェルカムな感じで迎え入れていただけて嬉しかったですね。
ERI:
話してて思ったのが、信濃町に住んでいると夕方に不意打ちで野菜をいただけたりすることがあるので、「あれが足りない」と思ってあわてて買いに出なければいけない、ってことがあまりないかもしれないですね。
──いなかまち特有のお裾分けカルチャーで、やりくりができるとこともあるんですね。
第一スーパーのがんばり
──町外のお店をけっこう紹介してしまいましたが、「ありえない、いなかまち。」は信濃町役場の運営するサイトなので、信濃町のお店をちゃんと紹介しないといけないような気も……。
ERI:
それで言うと、第一スーパーのがんばりは凄いですよ。広告もこまめで、「今週はアイス4割引!」ということを知って行ったりもします。町内では第一スーパーがすごく根付いているなって。
Ayaco*:
ERIさんから富山のコストコのお話が出ましたけど、第一スーパーではコストコフェアもやっていたりしますよね。
──コストコフェア? コストコの商品が第一スーパーで買えるってことですか?
Ayaco*:
開催の1〜2週間前に店内に「コストコフェアやります!」ということが店内で告知されていて、信濃町の人たちはみんなコストコ好きなので、けっこう賑わいますね。
ERI:
マグロの解体ショーとかもありますね。あとは何が欲しいかを聞く体制があったり、私たち客のことを店員さんが覚えてくれているのもいいですよね。
まとめと次回予告
さて、ここまでは「食料品・日用品」についてお届けしてきました。いなかまちならではの制約のなかでも生活を楽しむための工夫がいろいろあるということが驚きでした!
だけど、生活必需品だけでなく、衣料などの嗜好品のお買い物事情も気になります……そこで、そちらは次回またお届けします! ぜひお楽しみに。(次回に続く)